2004.08.10

見えない標識─禁じられた道路

イスラエルの人権団体「ブツレム」(もう少し正確に表記すると「ブツェレム」なのかな)が、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人だけに禁止されている道路について調査結果を発表し、この道路の体制もまた「アパルトヘイト」の実行なのだと批判している。「なるほど」と思ったのは、どの道路がイスラエル人専用なのか、パレスチナ人はダメなのかということが、どこにも明文化されていないということだ。

国会の法令にも、軍令にも、プレスリリースにも、ましてや道路標識にも記載されていない道路の「つかみどころのない」アパルトヘイト体制をブツレムはつぶさに調べ上げ、道路マップを発表した。パレスチナ人は日々体験しているし、誰もが知っているが、しかし、全容はわかっていなかった。その概要をさらにまとめると道路は3種類に分かれていることがわかる。

1 パレスチナ人全面禁止道路

イスラエル軍が"sterile roads"(無菌道路)と呼ぶものも含まれ、検問所体制が敷かれていて、パレスチナ人はまったく使えない。パレスチナの村に枝分かれする道も全面的に封鎖されている。

2 パレスチナ人許可制道路

基本的には使用禁止だが、特別な許可証を持っている者、その道路に頼らないと生きていけない村の住人であることが証明されるIDカードを持つ者だけが使える。

3 パレスチナ人規制道路

使えるはずなのだが、道路封鎖がしてあったり、検問があったりして、パレスチナ人が使うときに困難が多々生じる。

この1〜3のカテゴリーに属する道路が西岸には41つ。全長700kmに達するという。ヨルダン川西岸地域は日本の奈良県くらいの大きさだと考えると、生半可な量じゃないことがわかる。「検問所」や「封鎖」とは違い、移動の自由を奪うものとして、目立っていないが、じつは深刻だとブツレムは訴えている。

そう、このような使えない道を迂回して、道なき道やらがたがたの土の道を本当に大回りになりながら、移動するしかないのがパレスチナ人の生活だ。それも要所の検問所で締め出されたら、そこで終わり。

このような差別に根ざした生活破壊の道路体制をやめるようにブツレムはイスラエル政府に訴えている。

地道に調査して、状況を伝えてくれるブツレムの活動は、なくてはならないもの。いつも感心するなぁ。下の概要のところには、「禁止された」道路の地図(pdfでダウンロード)もついている。

ブツレム報告

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