2009.01.06

攻撃10日目 攻撃のなかにいる人たちの顔

先ほどこんな写真を見た。見るからに愛らしい幼児が3人すやすやと眠っていて、思わず頬を撫でてしまいたくなるような気持ちにさせられる。だが、この子どもたちは布でくるまれている。そう、ガザ攻撃で殺された子どもたちなのだ。それに気づいた瞬間、涙がこぼれていた。(この写真は http://www.imemc.org/article/58334 にあります)。

この子どもたちは月曜の朝、イスラエルの戦闘機からミサイルを浴びせられ、7人の家族が殺されたうちの5人の子どもたちのようだ。ガザ全面攻撃に入ってから10日目、殺されたガザの人は534人、負傷させられた人は2530人(うち重体が300人)になったと報じられている。地上侵攻が始まってからは、80人ほどが殺され、そのうち70人が民間人だという。

この数字が恐ろしいのは数が多いことだけではなく、そこにある一人ひとりの姿も見えなくなっていることにあると思う。誰が、どこで、どんな人生を送っていて、どんなふうに傷つけられたのかがほとんどわからない。

(突発的にイスラエル軍に殺されたりした人については、個人の状況を伝える記事がいちおうパレスチナからは発されていたが、今回はそういうものがほぼないに等しいのだ)。

それでも、私が読んだ記事の中から、少しの断片を取り出してみよう。

日曜日(4日)の午後、ガザ市近郊に住んでいたバケル家にイスラエル軍の戦車からの砲弾が直撃した。バケル家では、おかあさんと4人の子ども(そのうち、下は1歳と2歳)が殺された。

ベイト・ラヒヤでは、サレー・アル・グールさんの家にミサイルが落とされ、25歳のマフムード、親戚のアクラム(40歳)が殺された。この一家に助けをだそうと、近隣のものたちが駆けつけようとしたが、その車にもイスラエル軍はミサイルを落とし、6人が負傷した。

3日の午後9時すぎ、イスラエルの地上侵攻に抗議し、路上でタイヤを燃やしていた若者や子どもたちの一団にも、イスラエルの戦闘機は攻撃をかけた。それにより、12歳のアフマド・サミーが殺され、10人が重傷を負った。

イスラエル軍は救急車チームにもたびたび攻撃をかけている。4日の午前、ベイト・ラヒヤの西部で負傷者を救助していた救急チームに、ミサイルが落とされた。救急車は大破し、クルー3人が負傷、うち2人は重体となっている。

同じ4日午前、南部のラファでは、バルバフ家の父と息子たちが、暖房と煮炊き用に薪を集めていた。そこにもイスラエル軍はミサイルを落とした。43歳の父、アーベド・ハサン、息子のムハンマド(16歳)、ユーセフ(10歳)、マフディ(22歳)、それに従兄弟のムーサ・ユーセフ(18歳)の5人が殺された。

ほかに詳細は覚えていないが、屋上でお湯を沸かしていた兄弟2人がミサイルで殺されたというのもどこかで読んだ……。

次の記事には、ジャバリヤで娘5人を殺された母親の証言が載っている: Testimony: Five girls in one family killed by Israeli bombing

A Palestinian mother and her children killed in fresh Israeli attack on GazaFifty-two Gazans killed as Israeli forces invade より)

これのどこが「戦闘」なのだろう?殺された者のうち、5分の1を子どもが占めている殺戮が。虐殺という以外に言いようがあるだろうか。

マスメディアのなかでは「戦闘」の一言で済ませられてしまう、これらの死が固有の名を持っていたこと、意味もなく殺されていったことを心に刻み込んでおきたい。


イタリアのla Repubblica紙のフォト・ギャラリーが、印象に強く残る顔をたくさん出している。この顔を多くの人にじっとみつめてほしい。

<ガザ。悲劇に巻き込まれた顔、顔> '09, 1.5

カテゴリー:ニュース | コメント 8 件 

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一母より

コメント by :なおあん

お疲れさまです。

写真、見る前からわかっていたのですが、涙がとまりません。自分の息子に重なってしまって。
生まれてから今日まで、一日ごと愛しまれてきた命に違いないのに。
本当に一人一人の姿が見えてこないですよね、ニュースだけでは。シカも今は(今回も?)死傷者の方の数に圧倒されているだけで。

「彼ら」を同じ人間であると思っていないから、占領しておいて、テロリストというレッテルを貼り、このようなことができるのでしょうね。

殺されたり、怪我させられたりしなくても、おなかをすかせているこどものためにパンが買えないでいる父親たち、赤ちゃんの具合が悪くなっても何もできず、ミルクも尽きて身を切られる思いでいる母親たちの気持ちを考えると苦しくなります。

できるだけ友人・知人に情報を広めます。

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2009.01.06 (Tue) 08:45

コメント by :lamp

はじめまして。
いつも情報をいただいている者です。
ちょっと気になる事があったのでコメントします。
その<ガザ。悲劇に巻き込まれた顔、顔> '09, 1.5
に一部、ユダヤの民が映っているんですが、
これは「パレスチナ、ユダヤ双方で巻き込まれた人々」という位置づけでいいんでしょうか?
もし、これが「巻き込まれたガザの民」という位置づけになってしまうと、
偽造した情報になってしまいます。

これは、決してパレスチナ人のみを支持する民族主義者ではなく、全ての命に対し同様の次元の中で接する者、及び情報には事実のみを求める者の質問です。

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2009.01.06 (Tue) 17:31

危険なコトバ

コメント by :宮崎

BBC(CNN)のテロップには看過できない表記がある。
「 Israel-Gaza border」

ここは日本のテレビ局も足並みをそろえる。
「イスラエル・ガザ境界」「ガザ地区境界」といった具合だ。

もちろんレポートの中で、「ガザ地区は報道できません。イスラエルが禁止しています」等の補足などほとんど無い(報告は「開戦」前から居た者のみ)。
また、いかにその行為が卑劣極まりないものであるかの視聴者への説明に至っては皆無である。

ガザ地区から数キロも離れた、世界最先端の兵器による攻撃からは無縁の、よってヘルメットすら着用せずに取材できるイスラエルの国内報道に励んでいる。それだけ。「border」ではない。
ちなみに、ガザ地区(あえて言えば内部)から報道しているアルジャジーラ記者は防弾チョッキにヘルメットを着用している。

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2009.01.06 (Tue) 21:41

ガザで起こっているのは「戦争」じゃない (1)

コメント by :m_debugger

いつもブログ拝見してます。
年末年始が終わって少し時間に余裕ができたので、自分でもできることはないかと思い、メディアのバグ取りをする作業を始めてみました。
パレスチナにも注目して、おかしな報道に突っ込みを入れていきたいので、これからもよろしくお願いします。

トラックバック from:media debugger

2009.01.06 (Tue) 22:40

ごく簡単に……

コメント by :ビー

すみません、時間がなくて、ごく簡単にレスさせていただきます。

>なおあんさん、
あの写真を見るのは本当につらいです。でも、これが起きていることなんですよね。マスメディアにはぜひあの写真を使ってもらいたいものです。

>lampさん、

私もイスラエル人が中に入っていることに気づいていましたが、「ガザの人びと」とは書いていないので、そのまま、紹介しました。おそらく、死んだイスラエル兵士の方の関係者なのだと思います。la Repubblicaの意図はわかりませんが、私はイスラエル人も含めて今回の攻撃で悲劇にみまわれている、と解釈していました。

>宮崎さん、

ほんとうに「ガザには禁止されていて入れない」とマスコミは断ってほしいですね。それが最低限の報道倫理だと思います。

>m_debuggerさん、

とても有意義なツッコミ、興味深くよみました。今後も期待しています。こちらに書いていて使えるものは使ってください。

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2009.01.07 (Wed) 02:54

ガザ

コメント by :

トラックバック from:凡庸人の日記

2009.01.07 (Wed) 14:14

再び失礼します

コメント by :lamp

>ビーさんへ

ご回答ありがとうございます。
ほっとしました。

その兵士のほかに、室内の中に3人の幼子が映っている写真がありますよね。中央に赤系色の布団(?)が置かれている写真です。
パレスチナ情報センターからのリンクでyahooの写真サイトをチェックしてたときに見ました。それもユダヤの民で、シェルター内で撮影されたものだったと思います。

話は変わり、コメントする記事も違うかもしれませんが、抗議デモ集会の情報を心待ちにしています。建前ではなく、本気で止める覚悟で参加します。

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2009.01.07 (Wed) 23:21

現地速報・ガザの死闘で長期戦を覚悟するイスラエル

コメント by :

トラックバック from:米流時評

2009.01.17 (Sat) 07:11

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