2007.08.10

ヨルダン渓谷の村々の苦境 追い出し・建築不許可……

日本政府が華々しくぶち上げている 「平和と繁栄の回廊」構想 の舞台となるヨルダン渓谷で、パレスチナの村々に何が起こっているかを知らせる国連IRINのレポートが届いた。ヨルダン渓谷はオスロ合意でC地区とされ、完全にイスラエルの管理下にある。レポートよりダイジェストで、生きることを困難にされている村々の様子を伝えてみる。

追い出し

ヨルダン渓谷北部のアル・ハディディヤ村は電気も水道も来ていないところへきて、イスラエル軍から破壊と退去命令を受けている。5家族がイスラエル法廷に命令取り消しを求めて訴えたが、負けてしまった。それらの家族は書類にサインをさせられ、地域を立ち去ることになった。

「私たちはここを離れたくないのです」

と言うのは住民のブシャラットさん。しかし、すべての住人が強制退去させられるのは時間の問題のようだ。

イスラエルの西岸における市民行政局のマイモン氏は、村の住民たちは不法に土地に侵入し、テントや家畜小屋を設置した。これはイスラエルの法を犯しているという。「イスラエルはこうした不法な行為に対策を講じなければならない」とマイモン氏。

しかし、村民たちはかつての居住区がイスラエルによって「軍事地域」にされてしまい、それで移ってきたのだと言う。

水道も来なくなった

「1997年には我々はイスラエルの水道会社、メケロットと契約していたのです。しかし、8ヶ月後に水は止められ、水道管は閉められてしまいました」

と語るのはハディディヤ村のサケルさん。

水道管はまだ健在で、近くの地面を通って、国際法の下では不法とされているイスラエルの入植地に水を運んでいる。これがサケルさんの神経を逆なでする。

「我々はイスラエルに何の害も与えていない。我々の土地に対する権利だって持っている。入植者たちは土地に対する権利書をもっているのかい?」

サケルさんは怒りと不満で声を荒げて、そう語った。

アムネスティ・インターナショナルは「イスラエル軍が移動と水へのアクセスを制限するので、抑圧が高まっている」状態に村人たちが直面していることを憂慮すると最近、発表した。

移動の制限

ハディディヤ村の約100人の住民たちは水を運ぶのに、タンク車を使わなければならない。しかし、イスラエルが移動の制限をしているので、どの道をパレスチナ人が使ってよいか、いつなら良いかというルールを犯してしまったとみなされたら、タンク車はイスラエル軍によって没収されてしまう。

「これは一日水なしで過ごすということを意味するのです」

と、サケルさん。もし、別のタンク車を私的に雇うとすると、貧しい牧夫たちにとってコストは3倍にも跳ね上がってしまう。さらに没収されたタンク車を取り戻すにも高額な罰金を支払わねばならない。

マホール近くの小さな野営地で、約80人の住人が同じような苦難に直面している。ただし、ここの住人はタンク車を持っていないので、車を雇うために水はもっと高額なものになっている。

移動の制限は日常的な問題だ。

「ときどき、私たちが道や軍事施設の近くで放牧していると、それだけで軍に拘束され、逮捕されてしまいます」

とハディディヤ村のブシャラットさん。前回、彼が[軍に]連れ去られたときには彼の家畜の群は道路の脇に放置されてしまったという。

イスラエルの市民行政局は、「人々には別の解決法を提供しています。彼らがそれを拒否し、法を破るのです」と語っている。

建築の許可が下りない

ハディディヤ村からだいぶ南に行ったところに、フルシュ・ベイト・ダジャンの村はある。村民の15%は1948年に難民になった人たちで、UNRWAに登録されている。

この村の難民のひとり、バライネさんが言うには、1200人の人口を抱える村の「最大の問題」は「建築許可が下りない」ことだ。また、村はイスラエルの公式な地図にも記載がされていなくて、それは不法なものだと見なされていることを意味する。

ハディディヤ村と同じように、このフルシュ・ベイト・ダジャンも、オスロ合意によってイスラエルの完全な支配下にあるエリアCとなっている。

「うちは古くて、ガンを引き起こすアスベストをつかっているんです。これは健康に悪い。でも、本物の屋根をつけることができない。というのは、それは完全な建設だと見なされるかもしれなくて、そうなると家屋打ち壊し命令がでる危険があるからです」

と、バライネさんは語った。

電気、医療、水へのアクセス

ダジャン村では、電線も来ていないため、発電器によって電気を得ている。バライネさんはその費用が高くなってきていると話す。

近くの村はスペイン政府の援助でソーラー・パネルが設置され、それで発電を行っているが、バライネさんにはそれが羨ましい。

「何の費用もかからないんですよ」とバライネさんは、そんな持続可能なシステムが自分の村にも同様に届くことを願いながら言った。

移動の制限はこの村でも大きな問題になっている。最も近い病院に行くために、いくつもの検問所を通らなければならない。緊急時にはこれが貴重な時間の浪費になると医療ワーカーたちは言っている。

水へのアクセスもまた、日々の闘いとなっている。村の7つの井戸のうち3つが近くのイスラエル入植者が自分たちで使うために閉鎖されてしまったと住民は語る。

「水は生活の静脈だ。毎年、水へのアクセスが私たちは狭められている。一回、水がなくなってしまったら、それきりだ」

と住民のムハンマドさんは語った。

Villagers face evacuation orders, movement restrictions より)

*This item comes to you via IRIN, a UN humanitarian news and information service, but may not necessarily reflect the views of the United Nations or its agencies. All IRIN material may be reposted or reprinted free-of-charge; refer to the copyright page for conditions of use. IRIN is a project of the UN Office for the Coordination of Humanitarian Affairs.


[日本政府は農業団地や農産物加工工場の援助を考えているようだが、それ以前に住人たちがまともな権利もなく、いつ追い出されるかわからないような不安定な状態で生活しているほうを変えなくては何にもならないのでは? こういう村の人たちの話を聞いてみてほしい]

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■[中東][イスラエル]15日に4者外相級協議=日本の支援、加速化図る−パレスチナ

コメント by :navi-area26-10

15日に日本、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンの4者の外相級協議があるそうで、そのエントリへのリンクです。
15日過ぎたら何か情報が出てくるか、また探そうと思います。それでは失礼します。

トラックバック from:navi-area26-10の日記

2007.08.13 (Mon) 22:00

[中東][イスラエル][国内]日本提案のヨルダン渓谷開発計画、パレスチナ首相が高評価

コメント by :navi-area26-10

続報のようです。報告まで。

トラックバック from:navi-area26-10の日記

2007.08.15 (Wed) 00:17

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