2007.06.04
英国機密文書、エンテベ・ハイジャックへのイスラエルの関与を示唆
このほど英国で公開された政府の機密文書のなかに、1976年に起きたPFLPによるハイジャック事件をイスラエル国内諜報機関シン・ベトが「助けて」いたと記されていたものがあったとガーディアンが報じている。
問題のハイジャックは、1976年6月27日にテルアビブ発パリ行きエールフランスが、PFLP(パレスチナ解放人民戦線)と西ドイツのバーダー・マインホフ関係者によって乗っ取られ、ウガンダのエンテベ空港に着陸した事件。
イスラエル人、ユダヤ人以外の人質は解放され、残った人質は空港の旧ターミナルビルに移されていた。ハイジャッカーたちの要求はイスラエルに囚われている仲間40人ほどの解放だった。
7月3日の深夜にかけて、イスラエルの特殊部隊はエンテベ空港に輸送機を密かに着陸させ、輸送してきたウガンダのアミン大統領(当時)が乗っていたのと同じ黒塗りのメルセデス・ベンツで、ターミナルビルに接近。大統領が来たと思わせて、中から特殊部隊が飛びだし、戦闘になった。この戦闘で警護をしていたウガンダ兵士45名、ハイジャッカー6名、人質3名、イスラエル軍兵士1人が死亡した。
イスラエルでは「オペレーション・サンダーボルト」(または死亡した兵士の名前に因み「オペレーション・ヨナタン」)と言われているこのエンテベ空港奇襲作戦は、「エンテベの勝利」(1976,米国)として映画にもなり、最近では「ラストキング・オブ・スコットランド」でも取り上げられている。
空港の3分の2を破壊されたウガンダは、後に主権を侵害されたとしてイスラエル軍の攻撃を非難し、国連安全保障理事会の招集を要求した。しかし、安保理はこの問題に関する決議を却下している。
というのが、このハイジャック事件のあらましだ。
今回、公開された 英国の機密文書(document released by the National Archives) のなかに見つかったのは、パリ駐在の英国外交官DH Colvin氏が事件のさなか、エンテベ空港への奇襲が行われる前の6月30日に記していたもの。
「Mr Colvin, citing an unnamed contact at the Euro-Arab parliamentary association, wrote: "According to his information, the hijack was the work of the PFLP [Popular Front for the Liberation of Palestine], with help from the Israeli secret service, the Shin Beit."」
( Documents claim Israel aided Entebbe hijack [Guardian]より)
というわけで、匿名の情報によると、ハイジャックはイスラエルの国内諜報機関シン・ベトの助けによってPFLPが行ったということが書かれていた。
Colvin氏はこの「協力」が邪悪な同盟であると記し、また、「作戦はPLOのフランスでの立場をうち砕き、PLOと米国人との間に見られる信頼関係の増大を防ぐために計画された」と続けている。
[匿名の情報がソースになっているだけに、この話は信憑性を問われても仕方ない。また、そのうちにもっと確実な情報が出てくることもあるだろう。 この英国外交官氏は、国際舞台に出て信頼を勝ち得ていこうとするPLO主流派と、和平が結ばれると存在価値がなくなる(「will lose their raison d'etre」)PFLPの亀裂から、このような裏切り的な「協力」が生まれたと分析していたが、そのような亀裂状態はこの時期にずっと続いていたと思われる。PFLP側から当時を総括する文章が出たらよいだろうが、党派というのはそういうことを真摯にすることが難しいらしい。
今回、初めて、エンテベ空港奇襲作戦というものを詳しく知ったが、イスラエルが自慢する強引なやり方に驚いてしまった。相手がアミン大統領のウガンダだからできたのだろう( ミュンヘンではドイツ警察に任せて いるわけだし)。もっとも浮かばれないのは、この時殺されたウガンダ兵士ではないかと思ってしまった。 ちなみにこの時イスラエル側で殺された唯一の兵士は、ヨナタン・ネタニヤフと言って、元首相のベンジャミン・ネタニヤフの兄だということを知った]
[おまけ] イスラエルのハアレツ紙がどう伝えているか、メモ。うん、あまり信頼性が高くないと書いている。
「Newly released British documents contain a claim by an unnamed contact that the Shin Bet security service collaborated with the Popular Front for the Liberation of Palestine to hijack the June 1976 flight from Israel that was diverted to Entebbe, Uganda, the BBC reported Friday.
Israel's rescue of the dozens of hostages taken in the hijacking of the Air France plane, popularly known as the Entebbe raid, is considered one of the most daring and successful operations in Israeli history. Elite Israel Defense Forces troops stormed the airport where the hostages, many of them Israeli, were held and overpowered the hijackers and Ugandan soldiers.
Although the captors used the hijacking to demand the release of Palestinians or Palestinian supporters, a British government file on the incident quotes the unnamed source as telling a British diplomat in Paris that Israel was behind the hijacking. The claim is not known to be backed up by corroborating evidence, and the file does not make it clear whether the British government took the claim seriously.」
( U.K. file on Entebbe contains claim that Israel behind hijacking ハアレツより)


