2007.05.23

レバノンのパレスチナ難民キャンプ包囲 死傷者100人に

レバノン北部、トリポリに近いパレスチナ難民キャンプ、ナハル・アルバレドに、「ファタハ・イスラーム」という武装グループが立て籠もり、それに攻撃するレバノン政府軍との応酬で死傷者の数が急激に増加している。

20日(日)に「ファタハ・イスラーム」が、ナハル・アルバレド難民キャンプの入り口にある政府軍駐在所を襲ったことから始まった戦闘で、レバノン政府軍はキャンプを包囲。「ファタハ・イスラーム」側の銃撃などに対して、砲撃を加えている。

3日目になった22日までの状況で、正確なところはわからないが、アル・ジャジーラは武装メンバー20人、政府軍兵士32人、民間人27人が殺されたとしている。問題は3万人が密集して住むナハル・アルバレド難民キャンプが攻撃されて、何も関係ない民間人への被害が広がり、難民キャンプ全体の状況が悪化していることだと、赤十字や国連機関は訴えている。

人道機関は難民キャンプで25人以上が殺され、80人以上が負傷していると伝えている。キャンプの住民や医師たちは、遺体を埋め、負傷者を救助するために停戦してほしいと訴えていた。

しかし、月曜に予定されていた2時間の停戦期間は、数分で終わりを告げ、攻撃が再開された。

難民キャンプではモスクも攻撃を受け、電気は止まり、水道も残りわずかになっている。パンもなく、キャンプでは飢えが始まっているという情報もある。

キャンプの住人のライラ・ムアードさんはアルジャジーラへの電話で

「状況はとても悲劇的だ。うちの前には3人の負傷者がいるが、助けることができない」

と語った。

パレスチナ赤新月社のドクターは、瓦礫の下に民間人が閉じこめられていると語り、キャンプのメディカルセンターのディーブ局長は、55人の死傷者がいて、ほとんどが民間人であり、子どもも含まれていると話している。

また、サファド病院のドクター・アサドは「全体的な状況はとてもひどい。負傷者全員を救出できないうえに、何人かは出血して死に至っている」と言った。病院の医療品も急速に底をつきだしているという。

この攻撃に対して、米国務省は「政府軍を支持」と語り、攻撃に歯止めをかける様子がないが、このままでは犠牲を出すのは、難民キャンプの住人たちばかりになる。

Fierce clashes continue at Palestinian refugee camp in LebanonMore than 100 dead and injured at Nahr Al-Bared camp より)

[ここで突然登場した「ファタハ・イスラーム」という武装グループは、シリアとの関係やアル・カイダとのつながりなどを指摘されているが、その真偽はよくわかっていない。PLOのファタハは「何の関係もない。ファタハの名前を使うのは許せない」と怒っている。実際、このグループはパレスチナ解放運動とはまったく関係がないという指摘もある。

というわけで、事件の真相はよくわからないが、もし、このグループがアルカイダ系のつながりを持っているにしても、パレスチナ難民キャンプ全体に対する砲撃のような攻撃の仕方は不自然で、何があるのかと考えてしまう。レバノンはパレスチナ難民にもっとも厳しい国なので、難民がいくら殺されようともかまわないのかもしれないが。これ以上の犠牲者を出す前に、この攻撃を終わりにしてほしい]

追加
レバノン現地情報 [パレスチナの子供の里親運動]に詳しいレポートが掲載された。そこから一部を抜粋。

「「難民キャンプ内の状況は悪くなっている。安全な場所はどこにもない。おびえた、どうすることもできない人々は、避難所に押し寄せ、過密状態になっているが、避難所は人々を受け入れる準備が整っておらず、必要な設備もない。戦闘はキャンプの奥深くあらゆる場所を標的としており、スナイパーが動くものすべてを狙い撃ちしている。

昨夜、赤十字が30人の負傷者をなんとか運び出すことができた。キャンプ内の唯一の安全な診療所には、今日、40人の怪我をした子どもたちが運び込まれた。死者数は増加しており、遺体がいくつか、運ぶこともできず路上に置かれたままである。

パンと水が極度に欠乏しており、子どもたちは避難所の中で食物と水を求めて泣いている。」

 アサードと話している間にも、私の耳には激しい爆音が聞こえてきました。彼はすまないと言い、急いで避難所にむかいました。   またしても私たちは目撃しているのです。人々が捕らえられ、人間の盾として扱われ、何のかかわりもない紛争のために血を流さねばならない様を。」

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■ コメント&トラックバック (2 件)

現地からの電話

コメント by :ぶんぶん

  攻撃が始まった次の日から毎日,バダウィ・キャンプに帰省中の夫と電話で話しています。(始まった日には携帯がつなからなかったので)
  ファタハ・イスラムは200人から300人とのことですが,その中にパレスチナ人は,10人程度だそうです。ほとんどが外国人で,シリア,サウジアラビア,イエメン,モロッコ,アルジェリア,レバノン,等々。レバノン人は割と多いそうです。
  昨年のイスラエルによる戦争中に,レバノン国内の避難民に紛れ込んでナハル・エル・バレドに入り込み,資金にものを言わせてアパートを借りたり買ったりして,住み着いて,武器を持ち込んだり,パレスチナ人犯罪者や事件の容疑者(レバノン警察は彼らを直接逮捕できませんが,難民キャンプのパレスチナ人が話し合って逮捕に協力することができるので,逮捕される前に逃げ出した人間です)を戦闘員として取り込んだりしてきたので,ナハル・エル・バレドの住民もレバノン政府も危惧していました。パレスチナ人は,彼らに早く出ていって欲しかったのですが,武装して危険なので近づけなかったのです。レバノン政府は情報をいち早く入手して,ナハル・エル・バレドの出入り口にキャンプ戦争の頃のような検問所を設けました。そのため,ファタハ・イスラムが他のキャンプに潜入することは免れました。
  今は,皆,ファタハ・イスラムが消えてなくなることを願っています。 

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2007.05.25 (Fri) 22:00

Re: 現地からの電話

コメント by :ビー

>ぶんぶんさん、

情報をありがとうございます。今、最新のエントリ(25日付)で、レバノンに詳しい中東専門家へのインタビュー抜粋を書いていて、このナゾのグループのことも少し明らかになっています。その内容と、

>ほとんどが外国人で,シリア,サウジアラビア,イエメン,モロッコ,アルジェリア,レバノン,等々。

というのはほとんど一致してますね。

それにしても、パレスチナ難民ばかりが被害に遭うのがひどいことだと思います。また、何かありましたら、コメントをよろしくお願いします。

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2007.05.25 (Fri) 22:26