2006.11.04

臨時ナブルス通信:ガザ北部への攻撃 死者39人に

1日(水)から始まったガザ北部への攻撃で、死者が39人、負傷者が150人にのぼっていると4日パレスチナ保健省のドクター・ハサネンが発表しています。イスラエル軍は「夏の雨」作戦に続き、今回の作戦を「秋の雲」と名付けた模様。

イスラエルの反戦団体、人権団体*は悪化する一方のガザの状況に抗議して、「封鎖を終えろ、戦争を止めよ」とデモや集会を連続的に行っていくと呼びかけをだしました。(*平和のための女性連合、グッシュ・シャローム、検問所ウオッチ、ニュー・プロフィールほか)

パレスチナでも犠牲者を悼み、暴虐に抗議するため、ラマッラーなどのいくつかの街ですべての商店を閉めるストライキが行われています。

次々と増えていく死傷者数と、断片的な情報で全体像がわかりにくいのですが、報じられていることをまとめてみます。

女性たちの列に発砲 2人死亡、ベイト・ハヌーン

今回のガザ北部への作戦で最も激しい攻撃にさらされているベイト・ハヌーンは、封鎖されて「軍事封鎖地域」と宣言されている。空と陸からの攻撃により犠牲者の人数は増えるばかりだが、3日金曜には女性たちがモスクに閉じこめられた男性たち(レジスタンス・メンバー)を救おうと、モスクに向かい、そこにイスラエル軍より銃弾を浴びせられて、2人の女性が殺され、最低16人が負傷した。

モスクに逃げ込んだ男性たちはイスラエル軍に包囲されていたが、一説では軍がモスクそのものを破壊しようとした矢先──外壁などはすでに壊されていた──、50人ほどの女性たちが封鎖の中、モスクに向かい惨劇が起きた。

「……「女性によるデモ」の映像が流れている。本当に、女性たちが行進をしている。そして、その女性たちに向けて、銃撃が始まった。逃げ惑う女性たちの中で、一人の女性が倒れ、動かなくなった。誰がどう見ても、丸腰の女性たちによるその行進に対して、銃弾が撃ち込まれ、一人の女性が命を落とし、十人以上の女性が負傷した。」

(この映像をテレビで見たLusinさんによる 「秋の雲という名の戦争犯罪」 [つつがある日々]より)

行動に参加したある女性は、最初の予定では女性たちが閉じこめられている男性たちのために女性用の丈の長い服を持っていき、男性たちを女性に見せかけ、逃げさせるつもりだったと語っている。実際にはイスラエル軍が女性たちを無差別攻撃したために大混乱が生じ、男性たちはそれに乗じてモスクから逃げ出したようだ。(結果として女性たちが「盾」になるという形になったが、毎日新聞が報じたような「…女性が武装集団と同軍との間に割って入って同軍と衝突」(4日付)というのはあまりにも実態とかけ離れている。女性たちはただ襲われたのだから)。

ベイト・ハヌーンのアル・アウダ病院は、これまでの負傷者に加えて、女性たちの負傷者も運ばれて、限界に達した(緊急治療室のベッドは14しかない)。

[知り合いがこの事件で足を撃たれたLusinさんによる 「秋の雲という名の戦争犯罪」 [つつがある日々]に生々しいレポートが。]

これが「衝突」? 2000人の連行も

日本の新聞では、ベイト・ハヌーンで「武装勢力とイスラエル軍の衝突が起き、武装メンバーが殺害される」というような報道がなされているが、実際には銃撃戦などの衝突で殺されているよりも、砲撃、ミサイル、スナイパーによる銃撃で一般市民も含めて殺害されているようだ。

たとえば、金曜の朝方には武装グループのメンバーが車を狙ったミサイルによって暗殺されている(ガザ市で4人、ベイト・ハヌーンで1人)が、ベイト・ハヌーンでは4歳の子どもが2日前に家に撃ち込まれた砲弾による負傷で命を落とした。

パレスチナ保健省のドクター・ハサネンによると、砲弾による負傷者は破片などがないにもかかわらず、皮膚がやけ、内部の傷が大きく、重体となっているケースが多い。これは先日 明らかにされた新型兵器DIME 使用の可能性を示している。

また、ベイト・ハヌーンでは金曜の攻撃のさなか、住民たち2000人がイスラエル軍に拘束され、軍用バスに乗せられて、どこかわからない場所に連れ去られたという情報も出ている[「200人」の間違いではないかと思うが、他に確認できる情報が入っていない]。

この連行された人々のなかには多数の女性やパレスチナ自治警察員も含まれ、ファタハの上級幹部やガザ北部の警察長などもいる。

医療機関への妨害

パレスチナ保健省はこの間、病院、救急車、医療スタッフへのイスラエル軍による攻撃、医療行為の妨害を訴えているが、封鎖されたベイト・ハヌーンでは、病院へ負傷者を運ぶことも容易ではない。

ガザのドクター・モナ・エルファラーによると、救えるはずの命がイスラエル軍の妨害で救えなかったケースが出ているという。たとえば、1日に撃たれたハリル・ハマッドさんの場合は、たった5分の距離を運ぶことができず、赤十字などを介してイスラエル軍の許可を取り、病院に運び込んだときには出血多量で亡くなっていた。

救急車の移動は極端に制限されていて4〜5時間待たされることが多く、村を出入りすることはできなくなっている。

また、医療スタッフも直接の攻撃も受けている。3日(金)にベイト・ハヌーンのビール・アンナジャー地区で攻撃ヘリから撃ち込まれたミサイルで5人が殺されたが、そのうちの2人は医療スタッフだった。


ベイト・ハヌーンの状況の全容はまだ詳しくわかっていません。続々と死亡者の数は出ているのですが、それぞれがどのような状況だったのかというとレポートがほとんどないのです。

また、ベイト・ハヌーンだけではなく、ガザでは近くのベイト・ラヒア、南部のラファでもミサイル攻撃は起こっています。

国連のアナン総長は、パレスチナ武装グループに手製ロケット弾の発射を止めるよう呼びかけるとともに、イスラエルに対して「すでに重大な局面に(ガザは)あり、これ以上の攻撃の激化を深く憂慮する」というステートメントを発表しています。

2日までの状況を書いたものは: 「ガザ北部への侵攻で犠牲者拡大」

*パレスチナから、イスラエルの反戦および人権団体から、現在の攻撃を止めるために、沈黙を破り、国際社会が介入してほしいという呼びかけがでています。

意見の宛先は http://palestine-heiwa.org/misc/kougi.html まで

追加さらに6人が殺される

(これを書いている間に、またニュースが入ってきました)

土曜のこれまでにガザでは6人がミサイル攻撃で殺され、1日よりの死者合計は45人になった。ミサイル攻撃があったのは中部のジャバリヤで、2人は兄弟だった。ベイト・ハヌーンでも砲撃などが続いている。2日前に破壊された家の瓦礫の下に、遺体がそのままになって置かれているという情報も。

UNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)は、封鎖されたベイト・ハヌーンに水や食料、必需品を運び入れる必要があると記者会見。国際社会にその圧力をかけるよう求めた。また、UNRWAはすべての団体に暴力、攻撃の停止を呼びかけるとともに、イスラエルには救急活動の妨害をしないよう求めている。

……………

参照: Dr. Hassanen: At least 39 Palestinians, including children killed, 150 injured since Wednesday (殺された39名のリストを含む)、 Six Palestinians, including two brothers, killed on Saturday UNRWA:We have to send food and medical aid to the surrounded residentsNine Palestinians, including a child and two women, killed in Beit Hanoun on Friday Twelve residents killed in less than one hour in the Gaza StripThree days of siege and defiance in Beit Hanoun (Dr. Mona Elfarra writing from occupied Gaza Strip, Live from Palestine, 3 November 2006)


攻撃を受け、人が殺されているのは、ガザだけではありません。ベツレヘムでもナブルスでも事件は起きていますが、深く触れるだけの余裕がありません。ここではヘッドライン+アルファのみ。

その他の気になるニュース

  • Just another night in Balata ……3日、ナブルスのバラータ難民キャンプで15歳の少年ブラヒム・スマクレーさんがイスラエル軍のスナイパーに撃たれて死亡した。イスラエル軍は前日にもキャンプに侵攻し、捜索をしていたが、3日深夜にも再侵攻していた。ブラヒムさんは負傷して倒れていた兄を安全な場所まで運ぼうと通りに出ていったが、兄に辿り着く前に撃たれてしまった。

  • Body of Palestinian resident found under rubble of his home in Bethlehem ……3日、ベツレヘムではイスラエル軍が破壊した家の瓦礫の下に、イスラーム聖戦メンバーの遺体が発見された。3日にはイスラエル軍の侵攻により、若者たちが投石と火炎瓶で抵抗し、その現場で13歳の少年が撃ち殺されるほか、70歳の女性が足と腹部を撃たれて重体になっている。ほかにも負傷者が数名。

  • Frenchman shot by Israeli forces in Bil'in ……3日、隔離壁建設に反対して抗議デモをつづけるビリーン村で、フランス人男性がイスラエル軍により実弾で手首を撃たれる。他にラバーコートメタル弾で撃たれるなどして負傷者9人。

トップページインデックス | 関連カテゴリー ニュース

■ コメント&トラックバック (0 件)