2006.07.31

死の際にある旅でであった人々

夏のバケーション。あなたは海辺のリゾートにいて水着でくつろいでいる。強烈な太陽、青い空と海。読書や昼寝、友人との語らい。ゆったりとした時間に浸っていると、急に目の前にぎっしりと人が詰まった小舟がやってくる。乗っているのはアフリカから来たとおぼしき人々。意識を失いかけ、歩くこともままならない人たちが目の前にいる。

カナリア諸島のあちこちの浜辺でここ1年くらいに何度も起きたできごとだ。私は 「私たちのいるところ 2枚の写真から」 というエントリで、小舟で辿り着いた人が力尽きて横たわっている横で、何ごともなかったように談笑する人々の写真を1枚あげた。

昨日、友人が知らせてくれたのは、多くの観光客がこの移民たちの救助に走り回っている写真だった(ラ・レプッブリカ紙)→ Canarie, clandestini disperati tra i bagnanti (ここにたくさんの写真集、クリックで拡大)

脱水している青年に水を差し出すビキニの女性の写真
「ラ・レプッブリカ」より

このことはBBCもサイト上で記事にしている。

アフリカから殺到する移民希望者たちの受け入れを阻止しようとEU諸国は躍起になっているが、しかし、危険を承知で命をかけて移住に乗り出す人々がいる。先週は辿り着いたボートの中で4人が死んでいるのが発見されたそうだ。

太陽にさらされ続け、すべてを運にまかせるような賭の旅の果て。生きてヨーロッパ(カナリア諸島はスペイン領)まで辿り着いたとしても、消耗は激しく、低体温症と脱水症でほとんどの人が危険な状態で上陸する(この日は8人が入院した)。

この写真が撮られた日曜日、ツーリストたちは警察や赤十字のスタッフが到着する前にとにかくできることを行っていた。何人かのツーリストは歩くことができないほど弱った移民希望者たちを救助するためにラ・テヒータのビーチにオフロードの車を出していたという(BBCによる: Tenerife tourists help migrants )。

ビーチパラソルを広げて、移民を休ませる人々
「ラ・レプッブリカ」より

この日が例外的なのかどうか、それはわからないけれど、「この人たちをそのまま放っておくわけにはいかない」という危機感を一目で自然と感じ取った人が多くいたのか、辿り着いた人々が「正式な書類を持っているのか、ないのか」なんてことに関係なく、たくさんの人が一口の水を差し出し、日陰を作り、彼らを抱きとめた。

移民に水を差し出す水着の観光客
「ラ・レプッブリカ」より

この出会いに私は小さな希望を見いだす。人間としての希望を。ヨーロッパとアフリカが出会ったよい例のひとつとしても……。

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■ コメント&トラックバック (3 件)

13歳の夏に

コメント by :Kazu

このエントリから、「13歳の夏に僕は生まれた」っていう見ようと思ってた映画のことを思い出したんだけど、東京ではもう終わっちゃってました。残念。
http://www.13natsu.jp/

京都では9月にやるみたいですよ。ビーさんどうですか?

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2006.08.01 (Tue) 14:04

よかった

コメント by :石黒亮

見失いそうになったものを改めて「これですよ」と提示されたような気がしました。
国や人種が、一人ひとりの人格を決めてるわけじゃなくて、
どんな国に住んでいようが肌の色が何色だろうが、みんな「自分の人生」を生きているんですよね。
国名を冠した酷いニュースばかり紙面上で読んでばかりいると、そんなこともつい忘れそうになってしまいます。

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2006.08.02 (Wed) 00:10

移民たちの旅

コメント by :ビー

Kazuさん、よい映画を紹介してくださってありがとう。「輝ける青春」のマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督なんですね。イタリアやスペインに流れ着いてくる移民たちのことに関心を持っているので、これはぜひ見てみたい映画だと思いました。それにしても印象的なタイトル。日本で公開されて良かった!

石黒さん、上の写真はまた別の意味で「私自身を問う」ものだと私は思って見ていました。私たちがのんびり過ごしているビーチにあやしげな小舟が漂着したら……。だから、これは単に和みや癒しを与える写真じゃないと思っています。

ただ、全ての人とは言えないけれど、多くのひとの中に咄嗟に人を助ける動きがあることを私はいくつかの体験から信じています。それは国籍も肌の色も超えるものだと思うのですよね。

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2006.08.02 (Wed) 02:37