2006.06.13

イスラエル軍暗殺で9人殺害 ガザ

「1発目は間違って標的をそれちゃったんで、民間人に当たっちゃいました。で、2発目で成功して「テロリスト」を殺害したんです」というようなことをイスラエル軍が語ったとおり、ガザ市内で13日、暗殺攻撃が起こり、9人が殺害され、多数が負傷した。犠牲者には2人の子どもも含まれ、負傷者のなかには重体のものもいる。

イスラエル軍の戦闘機からのミサイルはガザ市ザイトゥーン地区の人で賑わっている通りにいた車両をめがけて落とされたが、標的をそれて子どもたちを含めた通りがかりの者を襲った。その2分後、多くの人が現場に駆けつけていたところに2発目のミサイルが落とされ、今度は標的だったイスラーム聖戦の活動家2人を乗せた車両に命中し、さらに犠牲者が出た。


この暗殺攻撃はガザ海岸虐殺から数えて2回目となるもので、海岸の虐殺でミスをしたと語ったイスラエル軍は平気でこのようなことを繰り返している。

誤って殺された人は「副次的被害(コラテラル・ダメージ)」でしょうがないということなのだろうか

(それ以前に、暗殺行為そのものが、超法規的な汚い手段であることを確認しておいたほうがいい)。

今回も巻き添えを食った人たちは最低7人(死者だけの数字)であるが、これが「副次的被害」と言えるのか──ということに関して、パレスチナ情報センター(Staff Note)に大変示唆的な数値が出ていた。

「……第二次インティファーダの始まった2000年秋から数えて、233人のパレスチナ人が暗殺作戦によって直接的に標的とされ殺害されている一方で、それを大きく上回る353人の無関係な市民がそうした暗殺作戦とされる砲撃・空爆の巻き添えとなって殺害されている。もちろんこれは、その数倍〜10倍に達する負傷者数や、その他の軍事作戦による死者数は含まれていない」……

「誤爆」?、「事故」? 早尾貴紀──数値はRosemary Ruether "Israel's Targeted Assassination Policy" によるもの──強調は引用者)

「標的を定めた暗殺」ということで、イスラエル軍は「致し方なく」イスラエルへの脅威となっている者──それ自体も検証が必要であるし、暗殺という手段は認められない──を殺すふりをしているが、実際には巻き添えになっている人のほうが多いというわけだ。

「誤爆」?、「事故」? の文中では、この暗殺攻撃が攻撃をストップさせる力になり得ていない事実を指摘し、イスラエル側もそれを承知のうえで行っていて、このような攻撃をパレスチナ側から「報復」させるための挑発だとしている。私もこの意見に同感だ。

イスラエルが暗殺までして止めようとしているロケット弾は、手製のたいした威力も命中度もないもので(しかし、じつにたまに被害者が出るのも確か)、暗殺攻撃をいくら繰り返しても、それらを封じることにはならなかった。そんなことは百も承知の上で暗殺を行い、民間人の命を奪い、パレスチナ側に憎しみをたきつけているように思える。

海岸に遊びに来ていた一家を砲撃し、街を歩いている人の上にミサイルを落とす。それが「誤射」や「副次的被害」ですまされていいはずがない。

上記の文章では、イスラエル・ハアレツ紙のギデオン・レヴィ記者の記事を紹介し、5月に起きた同様の事件を追ったレヴィ記者のまとめを載せている。

「イスラエル空軍は、自動車に乗って移動中のイスラーム聖戦のメンバー一人を殺害するために、街中で砲弾を発射。たまたま隣を走っていたある一家の自動車にも被害が及んだ。大家族で乗り込んでいた車の中には、祖父母やその孫たちも乗っていた。生き残った28歳の男が失った家族は、自分の母親と妻と7歳の息子だった。他に彼の姉と叔父と3歳半の娘が重体でイスラエル側の病院の集中治療室に送られたが、同伴することは認められなかった。いずれも意識不明か全身麻痺の状態だ。彼のいとこと、2歳のもう一人の息子は、彼と同様に命に別状はなかったが、みな背中や手足に爆弾の金属片が入ったままである。」

「誤爆」?、「事故」? より)

これらがいつも「調査中である」として終わらせられてしまうことをレヴィ記者は皮肉っていたようだが、最初は攻撃を否認し、やや経って認めると、不幸なことだったと言い、「調査中だ」として終わらせていくやり方にいったい何度出会っただろう?

「暗殺攻撃 死者9人負傷者多数」のかげにいったいどれだけの苦しみが隠されているか、それもメディアで触れられることはほとんどない。きちんと真相を報道していったら、このような攻撃にはもっと非難が集中するはずなのに。

今、イスラエルの政治家は、パレスチナ自治政府の首相となったハマスのイスマイル・ハニヤの暗殺すら示唆している(ハネグビ国会議員発言)。そこで語られていることによると、もし、世界がパレスチナにイスラエルと同じようにしていいというのなら、「自分たちも暗殺されても仕方ない」と言っているのと同じ内容*だったが、この政治家は自分の発言がもつ差別性、不公平さにはひとつも気づいていないようだ。

暗殺事件については: Nine Palestinians, including two schoolchildren, killed in an Israeli airs trike in Gaza

ハネグビ氏のハニヤ暗殺示唆発言は: Hanegbi:Haniyya may be targeted for assassination

*[note]……その部分はこうなっていた。「"Yassin and Rantissi are waiting for you, Haniyya”, Hanegbi stated, “If you continue your policy of liquidating Jews, indiscriminate firing, and suicide terror attacks aimed at paralyzing Israeli society anew".」。ハネグビ議員は、国会(クネセト)での外交・防衛委員会の議長


*私も 数行で書いた 5月24日ラマッラー侵攻で4人のパレスチナ人が殺された事件を、一人ひとりがどういう人物で、どうして殺されることになったのかという精緻なレポートが出た。

Portraits of Palestinian Resistance: Introduction (Rima Merriman writing from Ramallah, occupied Palestine, Live from Palestine, 8 June 2006)──このIntroductionに続いて、殺された若者たち一人ひとりが紹介されている(訳して届けられなくて残念)。

「客観的であることと、公平(フェア)であることは違う」

ガザのジャーナリスト、ライラ・エルハダッドが、イスラエルのジャーナリスト、アミーラ・ハスの言葉の引用だとして、米国でのインタビューで語った言葉。

イスラエルが現在の殺りくを続けていられるのは、フェアネス(公平さ)に欠く世界のメディアのおかげでもあるとつくづく感じている。

トップページインデックス | 関連カテゴリー ニュース

■ コメント&トラックバック (0 件)