2006.03.15

「エリコ襲撃は米英と協議の上でやった」モファズ国防相

9時間に渡る攻撃の末、3人を殺害し、25人を負傷させ、パレスチナ治安部隊の人間も含めた300人を逮捕した、イスラエルによる今回の エリコ襲撃 も、ガザ「撤退」劇と同じようにひとつのショーだった。冷静に考えれば、イスラエルが身柄を強奪したサアダートPFLP議長らは、パレスチナ自治政府刑務所から解放されても、いくらでもイスラエルは逮捕することができたはずだ。普段は西岸で逮捕作戦や暗殺作戦を行っているのだから。そう考えると、これは人に見せるための大がかりな舞台を選んだのだなと思うしかない。

選挙前のアピールというのが大方の見方になる──とくに右派への受けを狙ったもの──が、もう少し何かあるかもしれない。というのは、イスラエルのモファズ国防相が、この襲撃を米英と事前協議していたことを語っているからだ。

イスラエル国防省が出した声明と矛盾することをモファズは14日(火)夕方に語った。

英米(の監視団)が立ち去ることはわかっていた。攻撃を可能にするために、事前に協議ができていたのだ、と。

モファズ国防相によると、火曜にエリコ刑務所を攻撃すると決定されて、先週からイスラエル軍は準備を行ってきたという。モファズは「イスラエルの国益と安全を安売りはしないという我々のメッセージだ」とこの攻撃を正当化した。

襲撃終了後、オルメルト首相代理はモファズにお祝いの言葉をかけ、モファズはハルーツ軍参謀長らに「兵士の怪我もなく作戦が成功した」と祝いの電話を入れたという。

この襲撃で捕まったパレスチナ人(約300人)のうち、イスラエルに対する攻撃を行っていない者は釈放され、他のものはイスラエルで裁判にかけられるという。

Defense Minister says Israel has planned Jericho attack with UK and U.S guards since last week による)


うーん、やっぱ米英とグルなのね(というか、こんなことは米英の意向を無視して行うのはイスラエルにも難しいと思う)。

ハマス(パレスチナ)にはロードマップ他数々の合意を尊重しろと要求し、自分たちは好きなことをする──というのは、今までと変わりがない。

が、オルメルトやモファズらがシャロンから引き継いだカディマが「一方的な国境策定──入植地の大半もイスラエル側にする」と宣言している今、今回の強硬策を英米のお墨付きでやっている意味は、選挙用政治ショー以上のものがあると思ってもいいようだ。

隔離壁をそのままにして、巨大入植地を全部イスラエル側とする──結果、西岸のパレスチナ人居住区はまた土地を奪われ、さらには分断される。これを英米は基本的に認めているのだろう。そういう政策を推進しようとしているカディマへの後押しとして、今回のエリコ襲撃への「協力」があったと私は思う。

関連ニュース:

U.S. Veto may hinder UN condemnation of Jericho prison offensive

カタールがアラブ諸国の代表として国連安保理に提出する、今回のイスラエルによるエリコ襲撃とパレスチナ人拉致への非難決議に対して、米国が拒否権を発動することが予想されている。カタールが提出する予定の決議案は、襲撃を非難し、イスラエルに襲撃前の状況に戻す[拉致した人々をエリコに戻す]ことを要求するもの。[またいつもながらの米国によるイスラエルのための拒否権発動。 いったい、何度目?

以下、関連文献:

「エリコ刑務所攻撃の背景」 (早尾貴紀・パレスチナ情報センター、3月16日)──歴史的経過、政治状況の変化、イスラエル国会選挙との絡みなど多方面から攻撃の背景を考える

「……今度のエリコ攻撃の前日のハアレツ紙にも、いったんヨルダン渓谷地域を離れたパレスチナ人2000人が戻ることをイスラエル軍に禁じられているが、その措置が、彼らが土地を不法にユダヤ人入植地やイスラエル軍駐留地のために収用されたことに対する返還要求を食い止めるためだ、とする記事が出たばかりだった。
 今度のエリコ攻撃は、ヨルダン渓谷地帯に対するイスラエル軍の支配を強化する一ステップとなるように思われてならない。」

「エリコでの事件と女性たちの研修旅行」 (藤屋リカ・JVC)──JVCの現地調整員としてパレスチナに滞在している藤屋リカさんによる報告。ベツレヘムの女性たちとエリコへの研修旅行を計画している最中に起きた襲撃事件。

「……PFLPは先の評議員選挙(関連記事No.145,No.146)で3議席を確保、多数派ハマスの新連立政権へ参加表明をしているため、イスラエルはハマスに対して新政権樹立の混乱を狙い、またPFLPが報復に出ることを見越してパレスチナ新政権の「テロ行為」を強調し各国からのパレスチナ支援の凍結の方向を強めることをもくろんでいるのではないかという見方もありました。」

Amnesty: "Palestinian prisoners at risk of being killed by Israeli forces" (エリコ襲撃の最中にアムネスティから出されたステートメント、3月14日)

「 ……The UK and US contributed to perpetuating an extra-legal arrangement over the past four years during which Ahmad Saadat and his co-detainees were held arbitrarily by the PA. The sudden departure of the US and UK guards today contributed to the escalation of the situation that we are currently witnessing.

Amnesty International holds the Israeli authorities responsible for the safety of the detainees and staff in Jericho Prison. The organization reiterates its call on the Israeli authorities to end their policy of assassinations and excessive use of lethal force.」

Israel's attack on Jericho: Palestinians remain without protection (Ali Abunimah and Arjan El Fassed, 15 March 2006)

「The Israeli attack on Jericho and kidnap of a number of Palestinian prisoners, including the leader of the Popular Front for the Liberation of Palestine (PFLP) demonstrates once again the fiction that there is a functioning Palestinian "government" in the occupied territories. The ease and impunity with which the occupation forces attack Palestinians everywhere serves to remind us that these territories remain today, as they have been since 1967, under full Israeli military dictatorship. It is a mistake to keep referring to a "Palestinian government," because this gives the false impression that Palestinians under occupation are in control of their destiny. Palestinian factions may, in the wake of the January elections, be negotiating to form a "government," but this does not mean that this "government" can exercise any control or protect Palestinians from the ravages of the occupying power.」

(「パレスチナ政府」なんてものは虚構だ……。激しく同意)

(まだ追加するかもです)

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芝居のカキワリ

コメント by :田仁

ゲットーの中の人命が、舞台の背景のカキワリの人々程度の軽さであった、過去を思わせる。
それはよくない。

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2006.03.16 (Thu) 17:43