2006.03.14

緊急! エリコの刑務所がイスラエル軍に襲われている

第1報はロンドンから届いた緊急警告メールだった。「西岸エリコにある自治政府の刑務所がイスラエル軍に包囲され、降伏を求められている」と。え?は?刑務所を攻撃?と頭の中が白くなったが、次々と情報が入りやや詳細がわかってきた。最低2人が殺されている。攻撃は現在も続いている模様。以下、ISM(国際連帯運動)の緊急メールの概要。

Action Alert: Jericho prison under violent siege
(緊急! エリコ刑務所が軍に包囲されている)

「今、イスラエル占領軍の大部隊がエリコに侵攻し、パレスチナ自治政府の建物を戦車、軍用ジープ、アパッチヘリコプターで包囲しています。イスラエル軍は[エリコ自治政府刑務所に収監されている]PFLPなどのメンバー6名の投降(身柄引き渡し)を要求しています。彼らは2001年に起きたイスラエルのゼエビ観光相の暗殺に関わったとされていて、その中の1名はPFLP議長のアフマド・サアダートです。

看守と囚人の2人がすでに攻撃で殺されていて、8人が負傷しています。イスラエル軍は遺体や負傷者を刑務所から移動させることを許していません。 アフマド・サアダートはアルジャジーラとの電話インタビューで、自分が自発的に刑務所を出ることはない、武力で連れ去ろうとする軍と闘うと語りました。

英国と米国の監視部隊は、このイスラエル軍の侵攻が始まる前に刑務所から立ち去りました*[*15分前に去ったという情報あり]。5人のPFLPメンバーを守るためのこの英米監視部隊の駐留は、自治政府とイスラエル政府の間での合意の重要な部分でした。その部隊が去ったことは、英国・米国政府がこの侵攻においてイスラエルと協力していることを示しています。

[ハマス勝利という]機に乗じた、この暴力的な犯罪に抗議してください。イスラエル国防省、英米政府の代表に抗議をし、侵攻を終わらせ、締結された条約を守るように求めてください。」

ISM(国際連帯運動) 3月14日

(※抗議宛先は割愛、最後に改変したものを付録)

(原文: Action Alert: Jericho prison under violent siege

パレスチナ人権センター(PCHR)から出た緊急レポートから状況を補足すると、14日(火)午前10時過ぎにイスラエル軍がエリコに侵攻(ジープ、戦車、2台のブルドーザーなどによる80台の車両とアパッチヘリコプターを伴っている)。自治政府庁舎の横に陣取り、メガフォンで刑務所内の囚人に投降を呼びかけた。後にアフマド・サアダートPFLP議長をはじめとする5、6人の身柄引き渡しを要求していることがはっきりする。

(伝えられているのは、他にファタハのFu'ad al-ShoubakiやMajdi al-Reemawiなど)

イスラエル軍からの攻撃で看守など2人が死亡したが、厳しい包囲状態にあるため、身元はわからず。午前11時半、軍は刑務所の外壁をブルドーザーで壊し始めた。(以上、 Israeli troops attack Jericho prison (PCHR)より)。読売新聞14日午後10時付によると、イスラエル軍は刑務所の外壁を壊した上にミサイルを落としている。また、囚人200人のうち、100人が投降したとなっている。

(わかったことはまた追加します)→パレスチナからニュースを発信しているIMEMC Newsのサーバが落ちてしまい、新しい情報が入りません。が、辛うじて読めたヘッドラインには、「120人がまだ中にいて攻撃は続いている」とありました。評議会議員のムスタファ・バルグーティは「今パレスチナで起きていることに国際社会は恥いらなければならない」と発言しています。この攻撃が起こした衝撃で、パレスチナでは外国人や外国施設への攻撃が続出(コメント欄の最初の2つに)。大変不安的な状況になっています。

追加
BBCニュース(オンライン) からの速報(15日午前3時):

夕方になり、アフマド・サアダートは投降し、身柄をイスラエル軍に拘束された。イスラエル軍の将軍は「作戦は成功した」と語り、イスラエル外務省高官は「サアダートらをアッバス議長が解放しようとしていたので、急襲は必要なことだった」と話している。英米政府は監視団を引き上げたことを「治安状態が悪く、改善されなかった」と言っているが、パレスチナとの外交上の問題を監視部隊引き上げは作り出した。現在、英国議会ではジャック・ストロー外相が弁明に追われている。

※詳しいタイムラインは 「イスラエル軍、エリコの刑務所攻撃」 (fenestrae)さんに。

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*この襲撃の背景

2001年8月、PFLP議長だったアブ・アリ・ムスタファがイスラエル軍のミサイル攻撃で暗殺され、その報復として同年11月イスラエルのゼエヴィ観光相(全パレスチナ人の追放を政策として公然と掲 げる大イスラエル主義の極右モレデット党から入閣)をPFLPメンバーが暗殺した。PFLP議長を継いだサアダトは2002年1月にパレスチナ自治警察に他のメンバー5人とともに連行され、ラマッラーの議長府に幽閉された。サアダトに対する罪状はなかった。

2002年5月、米国政府が関与し、自治政府とイスラエル政府の協定が結ばれ、サアダトらはエリコの自治政府刑務所に収監された。そのうち4人はパレスチナの軍事法廷で、ゼエヴィ暗殺に関与したことで判決を受けたが、サアダトは裁判にもかけられず、罪状もないままになっていた。その後、パレスチナ最高裁はサアダトを釈放するべきだという判決を下したが、自治政府はこれを無視して、サアダトを収監し続けてきた。

ハマスの評議会選挙勝利後、アッバス議長はサアダト氏の不当拘束を解くことを検討し始めていたと言われる。イスラエル政府はそれを阻止し、身柄をイスラエルによって拘束するために行動に出たと考えられる。
パレスチナ人権センターは先週、英国政府がサアダト氏の不当拘束を援護する監視部隊を送っていることに訴えを起こしていた。

[もうひとつ、ここで気にかけておきたいこと。知人から、この攻撃はエリコを含むヨルダン渓谷に沿った地帯への、イスラエル軍駐留を既成事実化していく動きの一環ではないかという指摘があった。私もその可能性を感じている。「ヨルダン渓谷沿いの入植地地帯は永久にイスラエルのものになる」という発言はここ数ヶ月、イスラエル首脳陣(とくにモファズ国防相)によって繰り返されてきた。すでにこの地域に対するパレスチナ人の立ち入りが厳しく制限され、この地域にも壁が作られ始めたという報道がある(詳しくは ヨルダン渓谷と西岸を隔離する壁建設、始まる に)。このヨルダン渓谷沿いの南北に伸びる地帯に、孤島のように浮かんでいるのが、パレスチナ自治政府が管轄しているエリコの街だ。エリコを制圧しておくことは、この地域のイスラエルの支配を高めるうえで重要だということがわかる: エリコとヨルダン渓谷沿い入植地分布の地図


抗議宛先

イスラエル国防相(Defence Minister Shaul Mofaz)

  • Fax: 972-3-691-6940
  • Fax: 972-3-608-0343
  • Tel: 972-3-569-2010
  • Email:info@mail.idf.il
  • or sar@mod.gov.il

アメリカ大統領(President Gorge Bush)

  • The White House, 1600 Pennsylvania Avenue NW
  • Washington, DC 20500, USA
  • Fax: 1-202-456-2461
  • Email:president@whitehouse.gov

他の宛先は、 http://palestine-heiwa.org/misc/kougi.htmlAction Alert: Jericho prison under violent siege に。

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BBC NEWSトップ記事

コメント by :nofrills

BBC NEWSのトップ記事になっています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/default.stm

記事は:
West Bank jail raid sparks chaos
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4804424.stm

Last Updated: Tuesday, 14 March 2006, 16:59 GMT
(日本時間は+9時間、つまり15日午前1時59分)の段階ですが、数時間前とは記述が異なっています(アップデートされている)。記事の最初の4パラグラフ、概略ですが:

エリコの刑務所に対するイスラエルの急襲により、西岸とガザで誘拐と抗議が起きている。

この急襲は、米英のモニターがセキュリティ確保が充分ではないとして刑務所を後にしてまもなく始まった。

アハメド・サアダトと何人もの同志は、イスラエル軍に降伏することを拒否している。

少なくとも7人の西洋の活動者が、パレスチナの武装勢力に捕らえられた。

・・・などとあります。数時間前に見たときは、記事の最初の方に看守が死亡したことが書かれていました。

・・・続く

トラックバック from:

2006.03.15 (Wed) 02:21

上の続き

コメント by :nofrills

http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4804424.stm

記事の少し下のほうに箇条書きで次のようにあります:

・ガザの国際赤十字のdirectorが、ガンマンに誘拐された
・フランス人2人と韓国人1人がガザ・シティのホテルでガンマンに拘束され、うち1人は治安部隊に射殺された
・ガザのブリティッシュ・カウンシル・センターが放火され、EUの複合施設が襲われた
・エジプトの監視団がセキュリティ上の脅威を理由に撤退し、ガザとエジプトの国境は封鎖されている
・ジェニンのArab American Universityの米国人教師が一時的にミリタントに拘束された
・ガザ北部で、2時間に渡ってオーストラリア人教師がミリタントに拘束されたが解放された
・アル=アクサ殉教者旅団のパレスチナ人ミリタントが米英人に対し、即刻パレスチナのテリトリーを退去するよう警告
・ガザおよび西岸のパレスチナ人数百人が、イスラエルの急襲に抗議のデモ

# 長かったので2つに分けて書き込みました。

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2006.03.15 (Wed) 02:22

ありがとう

コメント by :ビー

nofrillsさん、要約をありがとうございます。これから、私は通信を作ることにかかります。


もし、状況の変化で何か起こったことに気づいた方は、ここにお知らせしてくださるとうれしいです。あまり手が回らない状態なもので……。

トラックバック from:

2006.03.15 (Wed) 02:33