2005.09.13

「監獄が大きくなって嬉しいよ」─入植地解放を体験するガザの人々

ガザ回廊の北部で明け渡された3つの入植地を一目見ようとやってきたガザの人々の姿を描いた記事が出た(パレスチナ人ジャーナリストによる)。

とても暑いさなか、老いも若きも、農民も漁師も、家族して歴史的な光景を見ようとエリ・シナイなどの3つの元入植地にやってきた。趣味の釣り人は糸を垂れ、漁師は舟を出し、親たちが瓦礫になった入植地を見て回っているあいだ、若い子たちはパレスチナ旗やいろいろな色の旗を電信柱にくくりつけているという。

廃車に乗って笑顔の少年の写真
15歳のカラムさん。「監獄が大きくなって嬉しい」(Photo: Sami Abu Salem/WAFA)[クリックで拡大]

ここで語られているガザの人々の言葉を紹介してみよう。

「ドゥジット元入植地の南端で、15歳のカラム・アル・ハウは置き去りにされた廃車に乗って遊んでいた。彼は車を「運転する」ことを楽しんでいて、幸せそうに見えた。

カラム少年は、自分は「撤退」のおかげで幸せなのではないと言う。「僕はガザの監獄が前より大きくなったから嬉しいんだよ」

私がどうしてガザが大きくなった監獄だと感じるのかとカラムに尋ねたところ、彼はこう言った。「ガザは小さな監獄だったんだ。今やそれが大きくなったんだよ。まだ、監獄だって言うのは、イスラエル人が国境や海を支配していて、僕たちは海外に行けないからなんだ」

カラム少年は父親の土地を見に来たと言って、干からびて焼かれた草で覆われた土地を指さした。

「ほら、ここが僕たちの土地なんだ。昔は果樹でいっぱいだったんだよ。井戸もあって、家もあった。今は何もない。すべてを彼らは壊していった」

カラムはこの土地で兄弟姉妹と遊んだことを覚えている。けれども、イスラエルが土地を破壊し、入植地に併合してしまったこの5年間は来ることもできなくなっていた。

少年は父親や兄弟たちとともにこの土地を「緑したたる場所に戻すんだ」と言った。彼はイスラエル人たちが車を壊してしまったことが悲しいという冗談もついた。「僕たちの土地を盗られていた賠償金として父さんが車を使うことができたのにねぇ」。

その近くでは白くなった髭をたくわえ、ターバンを巻いた77歳のサイード・アル・オッカが小さな丘の上に座っていた。朝早くから、彼は白いポットからアラブ・コーヒーを注いでは飲みながら、カラカラになった草ばかりの土地を見つめていた。

「ここは私自身の土地なのです」とオッカは言った。

「ここはイスラエル人のものになっていましたが、今6年間盗られた後で、私が取り戻したのです。」

「最低1000本のオリーブといちじくの木々、それに井戸や家が6年前にイスラエルに盗られたときに、全部ブルドーザーに押し潰されました。ほうら、今私が持っているのは荒れ地だけなんです」

アル・オッカはイスラエル人たちが彼の土地から柔らかい白砂を大量に持ち去ったことにも言及した。

2人の子どもを連れて歩いていたハゼム・ハウィラ(42)は子どもたちが入植地を見せて欲しいと頼んだことを語った。

「子どもらは入植地を見たいととても熱心だったんです。なんせ、それらはニュースでしか聞いたことがないものだったんで。妻も私もやっぱり見たかったんです」

ハウィラは入植地を去る前にイスラエル人たちがどうして木々を根こそぎにしていったのかといぶかっている。

漁師のアイマン・アル・ヒッシ(53)は、立ち入ることが今まで禁じられていたこの地域で仕事をするためにやってきたと語った。

「若いときはここらでよく漁をしたもんですわ。けど、イスラエルがガザを占領した67年からは、ずっとそれができなかった」というヒッシはこうも語る。

「今、魚を捕まえられないにしたって、懐かしくて、それでわしは幸せなんです」

彼は入植地の監視塔に駐留しているイスラエル兵士によってパレスチナ人が撃ち殺されるといういつもの報告を聞かなくなったということで安堵しているということも付け加えた。

ドゥジットからニッサニト入植地へ行く途中で、ふたりの子ども、8歳のムハンマド・ハミッドといとこのアブダッラー7歳がパレスチナ旗を掲げて自転車を乗り回していた。

ムハンマドは「撤退」が嬉しいという。もう銃声を聞かないですむだろうという理由だ。

ベイト・ラヒアに住むふたりの子どもたちは、真夜中の銃声が止むこと、夜でも家の外に出られることを楽しみにしていると口を揃って言った。」

"Children of Gaza happy for "Bigger Prison"" (Sami Abu Salem writing from occupied Gaza, Live from Palestine, 12 September 2005)よりほぼ全文に近い大雑把な訳。※この本文にはオッカお爺さんのなどの写真が数枚ついているので、見ることをお勧め(カラム少年の写真も、もっと大きくて見やすい)。


簡単な言葉ばかりなんだけど、土地が返ってきた嬉しさというより、土地を奪われていた経験が滲み出ていると私は感じた。浮かれ騒ぐ人もいるし、こうやって戻ってきたもの、失われたものと静かに対面する人たちもいる。

(ひとつ前の投稿内容と比較してみても、いいと思います)

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[占領][パレスチナ] 監獄が前より大きくなったから嬉しい

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2005.09.14 (Wed) 00:04