2005.08.26
トゥルカレムの暗殺を追う 超法規的殺人と巻き添えになった犠牲者
24日にトゥルカレムで 武装メンバーが銃撃戦の末、イスラエル軍に殺害され た事件は、後になってけっこう違う事実がわかってきた。(パレスチナでは最初の報道は大抵の場合、本当に不正確なことが多い。けれど、パレスチナ人が犠牲になるときは、その訂正はまともに流れることもない)
銃撃戦などは起こっていなくて、民間人を装ったイスラエル軍特殊部隊がいきなり車から降りてきて、銃撃したということははっきりしている。まずはAPが25日に流した内容を見てみよう。ここにはイスラエル軍の主張と、パレスチナ人たちからの証言がともに書かれている。
「暖かい晩、若いパレスチナ人のグループが屋外に座り込んで、ひまわりの種をつまみながら、よく知られた武装派リーダーとおしゃべりをしていた。そのとき、白いシャツを着た男たちがメルセデスから飛び出してきて、銃を撃ったと証言者は話す。イスラエルの覆面部隊は5人を殺したが、少なくとも3人は非武装だった」。
「イスラエル軍は殺された5人が全員イスラーム聖戦(ネタニヤでの自爆攻撃に関与したと言われる)だったと主張しているが、パレスチナ人は少なくとも2人が武装グループとは関係ない非武装の若者だったことを証言している。狙われた武装メンバーの近所の子どもたちだった」
このAPの記事は自分も撃たれて負傷した若者の証言を書いている。
「15歳のサミール・ムラーイは、数人の友人グループと一緒に、武装派メンバーのグループから10ヤード離れて座っていた。突然、誰かが「立て」とアラビア語で叫び、赤い閃光がグループを襲ったとサミールは話す。「車がやってきて、武装した男たちが降りて、僕たちに怒鳴ったんだ。僕は肩を撃たれた。連中はほとんど白いシャツを着ていたよ。」パレスチナのガンマンもピストルを持っていて、応戦したとムラーイは言う。ムラーイの友人たちもまた負傷した。」
"Israeli Troops Kill Five Palestinians" (Thu Aug 25、By ALI DARAGHMEH, Associated Press Writer)より
パレスチナ人権センターのレポート は部分的に違う箇所もあるが、ほぼ似たような調査結果を出している。それによると、こんな感じだ。
「24日の午後11時過ぎ、パレスチナのナンバープレートをつけた民間の車に乗ったイスラエルの覆面部隊がトゥルカレムの難民キャンプに入った。キャンプの中心にあるスーパーの横に車を止めて、私服を着た6人の武装兵士は車を降りた。そこに座っていた6人のパレスチナ人に向けて、彼らは銃弾を発射した。2人が即死したが、そのうちの一人はイスラエル軍が追っていた人物だった。特殊部隊のメンバーは近くに座っていた5人のグループにも銃撃をした。さらに2人が殺された。5人目の犠牲者は重体だったが、後に死亡した。全員が武装していなかった。」
犠牲者のうち、28歳(26歳説も)の男性が軍のターゲットで、他の犠牲者は16歳、17歳、18歳となっている。全員が4、5発の銃弾を受けていて、ほとんどが首や頭、胸に集中している。負傷したのも、25歳の男性以外は15歳と17歳の未成年者。
ここでわかるように、全員が非武装だったかははっきりしないが、「逮捕作戦があって銃撃戦があった」のではなく、最初から「撃ち殺す」ための行動を兵士たちは取っていて、覆面部隊でやってきている。
また、近くにいただけのグループも銃撃されて殺されているので、無差別の銃撃に近い。この殺害は挑発的な意味合いが非常に強いことがわかる。
パレスチナ報道ではまずイスラエル軍の発表がそのまま流される。それで終わってしまうことが多いが、後追いをしてみると、その大半が最初の発表とは違う事実を含んでいる。今回は超法規的殺害と言っていいものだし、まったく無実の若者たちが犠牲になっている。同じことをユダヤ人右派がやると「テロ」と非難されるが、軍が行うと当然のこととされる。ダブル・スタンダードの典型例だ。


