2005.08.09
対イスラエル協力者パレスチナ人家族、イスラエルに移住許可
ガザの中にイスラエルへの協力者(コラボレーター)が多く住む村がある。鉄条線に囲まれた異様な光景のなかに存在している村は、イスラエル人のリクリス監督が撮った「ボーダーズ」に登場し、住民が「イスラエル兵士がガザからいなくなったら、自分たちはここで生きていけない」と語っていたのが印象的だったが、ガザからの入植地「撤退」に伴い、この村の数十家族にイスラエルの居住権をイスラエル政府は与えるようだ。
イスラエルの治安閣議は、ガザのダハニア村の40家族にイスラエルの居住権を与え、イスラエルへの移住を認めることを決定した。これらのパレスチナ人家族は、イスラエルに「協力」し、イスラエル国家に奉仕してきたことにより、軍の庇護なしにはそのままガザに住むことは難しく、入植者と同じようにイスラエルへの移住と補償を求めてきた。
すでに18家族がイスラエルへ移っているが、モファズ国防相やリビニ法相などが彼らの要求に対応する委員会を作るという。イスラエル政府はこれらの「協力者」たちを、イスラエル内のアラブ系住民の町に移住させたいという意向を持っているが、アラブ系住民たちからは「裏切り者」を住まわせたくないと拒否されている。
"40 collaborator families allowed in Israel" (IMEMC News,9日付による)
「協力者(コラボレーター)」は実態が明らかにならない、占領の暗部にある問題で、性的なことも含めた様々な脅し、報酬によって、人は「協力者」にさせられるという。その「協力」によって、命を奪われる人も多いために、パレスチナでは最も憎まれ、「協力」が暴露されたときには私刑に遭うことが多い。
映画「ボーダーズ」に「協力者の村」が登場したときには、びっくりした。公然とそんな村が存在しているとは想像ができなかったからだ。映画で見る限り、そこはガザの他の場所からは隔離され、まるで準入植地のような(しかし、とてもみすぼらしい)扱いをされていることがわかった。
このダハニア村のことがわかる記事が先月、米国の新聞に出ていたので、そこからさらに補足。
"Arab village anxious about pullout"
村はガザ最南端のラファの近くにあり、完全にパレスチナ人の他の暮らしからは隔絶している。住人の多くは、ベドウィンのある一族の末裔だと言われている。
この村は「協力者の村」というレッテルが貼られているが、全員がそういう過去を持つわけではなく、元々のダハニアの村民は第1次インティファーダの間に、急に村が隔離されて、空き家にイスラエルがパレスチナ人「協力者」を連れてきたと語っている。多くの協力者はここで過ごしている間に、移住のための心理的なサポートを得てから、イスラエルに移っていった。
と、ひとりの村人は言う。このような「協力」とは無関係の村人たちは、イスラエルにではなく、ガザのなかに再定住することを選び取るつもりだが、不安がないわけではない。過去については、パレスチナの治安警察が調べ上げて、「協力」してこなかったことに太鼓判を押すことになっているが、この村の名前に植えつけられている悪い印象は変えられない。「(隔離されて、協力者の村にされるのは)とてもイヤだったが、なす術がなかったんだよ。すべてはイスラエルが決めたことだ。それ以来、ここは協力者に村になっちまった」
もちろん、中には自分はまったくの潔癖だから、何の心配もしていないという人もいるが。
イスラエル国防省の報道官によると、現在、イスラエル内にはパレスチナ人協力者1200家族が一種の「"証人"を保護するプログラム」として、移住を行い、なかにはこのダハニア村を経由してきた人もいるという。報道官が言うには、「田舎出身のパレスチナ人」が「都会の、近代的なイスラエルの生活」に慣れるためには、いろいろな心理的サポートも必要だということだ。
*この協力者のことを描いたイスラエル映画「コラボレーター」について、 映画『コラボレーター』の描いたこと (パレスチナ情報センター Staff Note)で「協力者」のことを含めて詳しく触れています。
*ラファに行ったことがある人から、ラファの隣の入植地に「取り残されたパレスチナ人の村がある」と聞いたことがあります。そこは他ともまた違うみすぼらしさが漂っていた、と。もしかしたら、そこがダハニア村かもしれません。


