2005.08.06

英国「アート・テロリスト」隔離壁で一仕事

世界的に有名な英国のグラフィティ・アーティスト、 バンクシー(Banksy) が、イスラエルの不法な隔離壁(分離壁)の上に9つの作品を描いたのが話題になっている。

壁の向こうに空が見える作品の写真
Banksyの作品 photo by M.K. [クリックで拡大]

バンクシーが「アート・テロリスト」の称号を授かっているのは、ロンドン中に政府公式マークを真似た 「公認グラフィティ地域」印のステンシルを吹き付けたり、数々の美術館、博物館で自分の作品を勝手に展示したことによる。

有名なものは大英博物館に ラスコー洞窟絵画ふうのペインティングをした石 を置いたもの。これはショッピング・カートを押している人が描かれているが、大英博物館は数日間気づかないで放置していたらしい。

他には今年の3月にニューヨークの4つの美術館で「展示」を行った。MoMA(近代美術館)ではアンディ・ウォホールのスープ缶をパロディにした作品(これも3日間気づかれなかった)、メトロポリタン美術館では ガスマスクをした女性の肖像 、アメリカ自然史美術館では戦闘機のような形をしてミサイルを抱えたカブトムシの標本、ブルックリン美術館では スプレー缶を手にして背後に"No War"と描かれた植民地時代の提督の肖像 を「展示」している。

バンクシーには他にもロンドンのテート・ギャラリーや、パリのルーブル美術館でも勝手に展示した過去がある。普通すぐにみつかりそうだが、意外とできるものらしい。

このバンクシーが「ホリデイ・スナップ」として公開したのが、イスラエルが不法にパレスチナに建設している隔離壁(分離壁)での作品。

「イスラエル政府は占領地パレスチナを取り囲む壁を建設中だ。この壁はベルリンの壁の3倍もの高さで、最終的には700キロメートル──ロンドンからチューリッヒまでの距離だ──になる。

この壁は国際法上不法なもので、本質的にはパレスチナを世界最大の野外監獄にしてしまう」 (バンクシーWebsite: Holiday Snaps の説明文より)

BBC Newsによると、イスラエル軍から威嚇発砲されて、何回かは銃を向けられたりしたらしいが、それでも9つもの作品を壁の上(パレスチナ側)に描きあげた( "Art prankster sprays Israeli wall" より)。

ある作品は壁に穴が空いて、その向こうに椰子の木が揺れるビーチが見えるようになっているし、ある作品は壁に窓ができていて、雪が積もる山が見えるようになっている。

興味深いのは作品の写真の横に、パレスチナの老人とのこんな会話をサイトで出しているところ。

老人:壁をペイントして、美しくしているな。

バンクシー:ありがとう。

老人:わしらはこの壁を憎んでいるから、美しくしてもらいたくないんじゃ。家にお帰り。

バンクシーは隔離壁を批判して今回のペインティングをしたということで、作品自体も壁そのものが「遮断していること」を感じさせる内容だが、この老人のコメントは痛いところを突いている。

それでも、バンクシーはこんな言葉で自分の活動を締めくくっている。

「グラフィティ・ライターたちにとって、この壁は究極のホリデイの活動をする目的地になっている」

世界のグラフィティ・アーティストをまるで誘うかのような言葉だ。


バンクシーの隔離壁の作品を見るには Holiday Snaps からNextを辿っていけば、写真が出ています。

私が気に入ったもの: (こんなヤツが…壁の向こうに)

ブラーのCD"Think Tank"のジャケット他、バンクシーの作品いくつか: 「Banksyという表現。」 ("Today's News from UK"さん)

*次の記事にもバンクシーの言葉:「バンクシー、隔離壁を語る」

**上記文章にある老人のことばをめぐっての英語エッセイ: "Well-known UK graffiti artist Banksy hacks the Wall" (Nigel Parry, The Electronic Intifada, 2 September 2005)

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■ コメント&トラックバック (2 件)

graffiti for peace

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2005.08.17 (Wed) 13:21

トラバどうもです

コメント by :samansa

トラバどうもです。たまに拝見させて頂いてます!banskyの作品はいろいろと考えさせられます。行動力も凄いですよね。提起してる問題ももちろんですが、まず単純に作品自体がカッコよいと思います。そういう見た目から入っても、それをとっかかりにして関心を持ってくれる若人が増えると良いのですが。

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2005.12.27 (Tue) 23:58