2005.06.18
米国の税金をイスラエルは不法な境界に使う
パレスチナ・イスラエルの「停戦」合意発表がシャロン、アッバス両首脳によってなされた2月8日の前日、米国のライス国務長官はパレスチナへの まとまった資金援助を発表 した。しかし、数日後には この支援金からイスラエルが検問所を作るという話 が未確認ながら報じられた。モファズ国防相が命じた特別チームが「人道的な」検問所を研究しているという話もついて。
そのことがつい先日、イスラエル外務省の発表した文書で明らかになったということを、米国の団体のプレスリリースから。支援金の使途問題だけではなく、ここには「人道的な検問所」と、それが隔離壁に沿って置かれるという、壁による境界の一方的移動が浮かび上がってくる。
米国の税金をイスラエルは不法な境界に使う
Council for the National Interest プレスリリース
2005年6月15日
Israelis will use U.S. Tax Dollars on Illegal Border
Press Release, Council for the National Interest
15 June 2005
イスラエル外務省が近頃発表したところによると、米国からのパレスチナのための2億ドル(200億円)援助パッケージのうち、四分の一にあたる5000万ドル(50億円)をイスラエルがワシントンからもぎとり、イスラエルとパレスチナの「分離ライン」に置かれるハイテク検問所(「ターミナル」)の建設に使うことがわかった。発表された文書のタイトルは「イスラエルの援助ステップとパレスチナ人への人道的手段」というもの。
つまり、米国民の税金は、イスラエルがここ2年間[ママ]*1に渡ってパレスチナ領内に一方的に建設してきた「分離壁」のルートに投じられるということだ。
このイスラエルとパレスチナの急ごしらえの境界は、いかなる法的な権威からも認められたものではない*2。パレスチナ人のために、また、パレスチナ指導者のマフムード・アッバスの成功を支えるために計画された援助は非常に皮肉なことに、第2次インティファーダが始まって以来、パレスチナ人の生活を悲劇的に、また苦痛に満ちたものへと破壊してきた検問所(ターミナル)の近代化にあてがわれてしまうのである。
なぜパレスチナ人への援助の割り当てから5000万ドルが検問所のために削り出されるのか──その動機はおそらくイスラエルへの米国からの援助がイスラエルの外─西岸やガザなど─に使われることが許されていないからなのだろう。検問所を作ろうとしている「分離ライン」はパレスチナの領域にしばしば深く入り込んでいるのだ。
パレスチナ人とイスラエル軍の間の緊張を緩和する──「あつれきを最低限にする」という奇抜な考えをどのようにイスラエル人たちが考え出したのか。そのカギとなる言葉遣いはイスラエル外務省が出した文書の4ページにある。そこにはこのように書かれている。
…それゆえ、イスラエル軍は大半の監視と統率の尽力を西岸とガザ内の検問所から「治安壁」が修正したルートに沿った「通過ポイント」に移動させるだろう。
イスラエルにとっての「新ターミナル(検問所)」つまり「新システム」は、軍人ではなく、民間人の操作で運営され、身体的なセキュリティーチェックでは「スマートカード」(例:生体指紋スクリーン)などが導入されるだろう。
ガザにはエレズ*3(最北端、人用)とカルニ(物資用)の2つの新しい「ターミナル」が設置される。西岸ではグリーンライン(停戦ライン)を越えた「壁のライン」に「ターミナル」は作られる。その場所はベイトゥニア、ジャラメー、カランディア、カルキリア、マアレ・エフライーム、タルクミア、そしてベツレヘム近くだ。このターミナルの位置はおそらく初めて明らかになった。
イスラエル外務省の文書では、いたるところでこの2月(の首脳会談)以来、パレスチナ人との関係を改善するために特別な努力が払われてきたことがまとめられている。イスラエルとパレスチナのボーダーを再びオープンし、操業時間を延長し、イスラエルに入ることができる労働者の数を増やし、パレスチナ人クリスチャンがエルサレムの聖地を訪ねる規制を緩和し…といった具合だ。そして、ガザと西岸のなかで道路封鎖の数を「著しく減少させた」ともある。
だが、「数」をみるとそれは無価値なまでに小さい。イスラエルに入ることが許された労働者は西岸で2000人増(人口150万に対して)、ガザで4500人増(人口130万に対して)。
道路封鎖に関して言えば、シャルムエルシェイク(2月のイスラエル・パレスチナ首脳会談)以来、3ヶ月でたった3つのバリアと2つのロードブロックが取り除かれただけだ。西岸には102箇所、ガザには21箇所の軍事検問所があり、バリアの数は何百にも及ぶ。
パレスチナ自治政府に移管するはずだった多くの西岸の都市で、イスラエル軍が取り除かれたのは今のところ、エリコとトゥルカレムだけである。
「新ターミナル(検問所)」は一箇所につき、2700万ドル〜3800万ドル(27〜38億円)の費用がかかる。ハアレツ紙の記事にはその建設に関する初期の段階の発表による4億5000万ドル(450億円)という金額があげられ、そのうちの40%にあたる1億8000万ドル(180億円)を米国をあてにしていると書かれていた。
今、費用の総額は2億5000万ドルに近づき、この中で米国が5000万ドルを供出することになっている。もし、初期に挙げられたパーセントがそのままだとしたら、我々米国はさらに5000万ドル(総計では1億ドル=100億円)の拠出を期待される。イスラエルは一人あたりの収入が高いにも関わらず、世界銀行にこの「ターミナル」への資金援助を求めたが、それへの回答はなされていない。ガザからの「撤退」の一部として、さらなる資金援助の要求がイスラエルから出されることに疑いの余地はない。
[The Council for the National Interestは、非営利、無党派の草の根組織で、米国における中東政策について新しい方向を提唱している。 http://www.cnionline.org/ ]
原文: "Israelis will use U.S. Tax Dollars on Illegal Border"
翻訳:ビー・カミムーラ
関連文章: 「人道的でモダーンな検問所」に米国が資金援助」 (2月14日付)
訳注:
*1…隔離壁(「分離壁」)の建設は2002年6月から始まったとされており、3年のほうが正確な数値。この壁のルートなどについては、 Stop the Wall! キャンペーン に様々な情報が。
*2…2004年7月、ハーグ国際司法裁判所(ICJ)はイスラエルの隔離壁を人道に反する違法なものだとして、建設中止、建てた部分の撤去、生じた被害に対する補償を行うよう裁決を下したが、イスラエルはそれを無視し、建設を続けている。
*3…エレズ検問所ではすでに「改装」工事らしきものが行われている。その様子は エレズ検問所・フォトストーリー で見ることができる。
[追加]
建設が進むカランディアの新検問所(ターミナル)の様子など: "History's Greatest Reoccuring Hoax: Colonization "For Security Reasons"" (Rima Merriman, The Electronic Intifada, 16 June 2005)…上記のCNIプレスリリースに拠った内容だが、カランディアの写真があがっている。



実は重大な件ではないかと…
コメント by :ビー
自分で訳して出しておいて、ここに書くのもヘンなんだけど、「盗人猛々しい」…なんてもんじゃなくて、これは大変なことだと思う。
一番の問題は一方的な壁建設による一方的な境界を追認していくことに尽きると思う(米国の税金を使うあたりも…)。それが「パレスチナ支援金」の中から出されるなんて…。
それに検問所一箇所が30億円かぁ。イスラエルには願ってもない「公共」事業なんだろうなぁ。汚いぞ。
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2005.06.19 (Sun) 01:52