2004.12.10

パレスチナの選挙キャンペーン VIP待遇か、殴打か [追加]

来年1月に行われるパレスチナ議長選挙で、アッバス元首相と獄中出馬のマルワン・バルグーティーの支持率はほぼ互角だというニュースが流れているが、マルワンのほうは出馬取りやめの噂も流れ続けている。

議長選に立候補した、マルワンではない「もう一人のバルグーティー」こと、ムスタファ・バルグーティーも選挙キャンペーンを開始しているが、9日にジェニン近くの検問所でイスラエル兵に捕まり、銃で殴られた。

病院で検査を受けて、Vサインを送っているムスタファ・バルグーティーの写真 は広く世界に配信され、イスラエルが保証しているという「自由な選挙」の意味を問いかけている。

ムスタファ・バルグーティーは選挙キャンペーンのために、西岸地区を回っていたが、アッバス元首相がイスラエル軍による制限なく自由に移動をして回っているのに対し、自分などが厳しい制限を課されるのは「差別」だとしている。

ムスタファ氏一行はジェニン近くの検問所では、銃床で殴られるなどの他、地面に動かずに横たわらされること1時間を超えたということだ。

「立候補者として「VIP待遇」の私でもこの有様だ。普通のひとりぼっちのパレスチナ人が普段どんな目に遭っているかというも想像できるだろう」(ムスタファ氏)

これに対し、イスラエル軍は、ムスタファ・バルグーティーが「軍が求めている」事前の告知なく検問所に現れ、通常の車内検査の手続きを拒んだために、銃で殴るという「トラブル」が発生したと説明している。

しかし、ムスタファは火曜にもヘブロンへ行こうとして、検問所で止められる経験をしており、今回もトラブルも故意に行われていると批判している。 イスラエルはパレスチナの自由な選挙を保証するとしながら、実際には様々な制限によって介入してきている、と。

「シャロンは公には[自由な選挙の保証という]ひとつのことを言いながら、実際には別のことを行っている」

と、ムスタファ氏。

パレスチナ中央選挙管理委員会長は、イスラエルに対し、すべての立候補者と届け出された支援者および選管委員の西岸とガザでの自由な通行を要求しているが、それに対するイスラエルからの応答はないことを明らかにした。

これを受けて、イスラエル軍のスポークスマンはムスタファ氏を含むすべての立候補者については自由な移動を許可する「VIP待遇」をしていることを述べている。しかし、あらかじめ、移動ルートなどを届け出ないとならないことも付け加えた。

[追加]10日付のハアレツ紙によると、さらに議長選立候補者が検問所で止められたという。こちらは人民党(PLO所属)のバッサム・アル・サリヒ氏で、エルサレムに行こうとしてアッラムの検問所でもみあいとなり、手錠までかけられた(これも「VIP待遇」なのだろうか)。軍当局は「逮捕はしていない。拘束はしたが」と言っている。


ムスタファ・バルグーティー氏は、獄中から立候補しているファタハ幹部のマルワン・バルグーティーのいとこにあたる。しかし、二人の立場はまったく異なり、医師であり、医療系NGOを束ねてきたムスタファ氏は、ファタハでもイスラーム系でもない独立した政党「ナショナル・イニシアティブ(PNI)」を立ち上げ、民主的なパレスチナを非暴力で勝ち取る新しい潮流を作り出そうとしている。

この事件に関してはインディペンデント紙の Israel accused of foul play by Palestinian election candidate (By Donald Macintyre in Ramallah、09 December 2004)、およびEIの Israeli movement restrictions threaten Palestinian democratic elections に詳しい。

イスラエル軍の「寛大な」VIP待遇については、

「自分たちの国を自由に動き回るのに、どうして"VIP待遇"が必要なのかしら?どうして、よその軍隊と事前に調整しないとならないのかしら?」

という批判が的を射ている。この事態が「占領の持つ《カフカ的不条理の深遠さ》を表している」( Kafka lives "Rafah Pundits" Estherの投稿より)

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