2004.10.23

UNRWAによる「ガザ北部大侵攻」の被害報告

トイレに入っていたら、ミシミシという音とともに家が揺れて、「うちが壊れる〜」とパニックに陥った。これは隣家の解体工事のせい。外へ出て見ると、本当にうちのトイレの真横をユンボみたいなのがガーッと取り崩している。振動と音の度に身がすくむ。(うちは連棟じゃないけど、隣との空間が15センチというすごい環境)。

これが小型のブルドーザー(たぶん1トンもないはず)の出す音なのだから、イスラエル軍が使うキャタピラー社の特殊ブルドーザー(なんと、50トンというエアバス並みの重さの、とんでもない怪物)だったら、どんなだろうと、ガザで家を破壊されている人たちの恐怖を少しだけ実感。隣家でうごめいているブルドーザーに「CAT」(キャタピラー社の愛称)というロゴがついていたら、逆上しそうだったが、国産メーカーだったので良かった。

9月28日から始まった北部ガザへのイスラエル軍大侵攻についてのUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)による報告が出たので、簡単にまとめてみた。数字になった結果には、本当の苦しみはないと思うものの、被害を知るには、このような数字も必要。。。


UNRWA Gaza field assessment of IDF Operation Days of Penitence より

  • 完全包囲の下に置かれていたのは、36000人の人々。(4000人が地域から脱出した)

  • 107人が殺され、431人が負傷。負傷者数はさらに多い可能性も。殺されたうち、18歳以下が27人(約4分の1)。死亡者の中にはUNRWAの6つの学校に通う9人の生徒と2人の教師も含まれる。
[家屋破壊]
  • 91軒(143家族分)の家屋が破壊され、675人がすみかを失った。他に破壊を受けたのは、101軒(803人)。再建費用は250万USドルとなる見込み。家を失ったうち、90%が難民だった。

  • 家屋破壊が集中したのは、ジャバリヤ難民キャンプの東端で、第2次インティファーダ以降、ガザ北部で最も甚大な被害を受けた。

  • 占領地全体で、家屋破壊の率は危険な状態に上昇している。ガザに住む人だと月当たり1360人、一日にして45人がイスラエル軍の作戦により家を失っている。

[公共建築物、商業施設の破壊]
  • 戦車からの砲撃、またはブルドーザーによって、19の公共施設、商業施設が完全に破壊された。(自治政府の建物、モスク、工場などを含む)

  • 16以上の公共施設が損傷を受けたが、そのなかにはUNRWAの学校(5校以上)、自治政府の学校、2つのモスク、1つの私立幼稚園が含まれている。
[インフラの破壊]
  • 破壊された道路の修復には24万ドルが必要だと見積もられた。イスラエル軍はブルドーザーや戦車でアスファルトを引き剥がし、溝を掘って交通を遮断した。道路被害の多くは10月13日にベイト・ラヒアの中心部へ作戦を拡大したときに起きている。ほとんどの道路は臨時の修復を終えているが、冬の雨には耐えられそうもない。(*訳注・パレスチナでは冬に雨がけっこう降る)。

  • 下水や電気設備の破壊総額は8万ドル。道路、その他と合わせて、総額35万5000ドルになる被害が生じた。

[農地の破壊]
  • 2週間の大侵攻で、ベイト・ハヌーンを中心に1000〜1100ドゥナム(*1ドゥナム=1000平方メートル)の農地が破壊されたと見積もられているが、北部ガザの行政長はさらなる調査を行っている。被害を受けた多くは、オリーブと柑橘類だった。

[教育への影響]
  • (ほとんどは UNOCHAの報告 と重なるので、そちらを参照のこと。そこにないことを以下に)。16日に閉鎖されていた残りの学校も再開を果たしたが、2校が損傷がひどいためにまだ閉鎖状態にある。

  • 侵攻のために、UNRWAの学校教師1154人が仕事に行くことができなかった。UNRWAスクールの2人の教師と9人の生徒(すべて15歳以下)が殺された。そのうちの4人の男子生徒は同じ学校だった。

  • UNRWAの5つの学校が破壊された。他に2つの学校が甚大な損傷を受け、いまだに再開できていない。影響を受けている生徒たちは臨時に近隣の学校に通っている。

  • イスラエル軍の砲撃や銃撃は学校に向けても行われ、壁、教室、窓、窓枠などが破壊された。黒板は銃痕で穴だらけになっている。他に付属の施設も完全に取り壊された。家具は壊され、コンピュータ、ファックス、文房具などの備品は[兵士に]略奪されている。

  • 学校関係の被害額は10万ドル近くになる見込み。

他にUNRWAクリニックの状況や食糧配給については割愛。─以上─


UNRWA(アンルワ:国連パレスチナ難民救済事業機関)が出す数値は、はっきり言ってかなり抑えめだ。というのは、どこをどう見たって、文句をつけられない数字にしておく必要があるからだと思われる。じゃないと、イスラエル政府から何を言われるかわからないからねぇ。

そのせいで、家屋破壊の数などは顕著に他のところより少なくなっていると思う。おそらくは「部分破壊」のなかに、修復不可能な状態になっている家も含まれているというのを念頭において見た方がよい。

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