2009.01.20

We can't have a dream.

テレビからはオバマ就任直前で、キング牧師の有名な「I have a dream」の演説の一節が流れてくる。かつて胸高鳴らせて聞いたこの言葉を今日の私はとても虚ろな気分で聞いた。

「私には夢がある。いつの日にか、私の4人の幼い子どもたちが肌の色によってではなく、人となりそのものによって評価される国に住む時が来るという夢が。……」(キング牧師演説、「I have a dream」より)

今日(19日のこと)は、報道各社がガザに入り、瓦礫となった街を映し出していた。ガザでも西岸でも何度も見てきた光景だが、今回の破壊はすさまじい。何度奪われたら終わるのだろうか。パレスチナ人というだけで、どれだけ傷つけられていくのだろうか。そう思うと、今日の私には、キング牧師のように夢見ることすらパレスチナ人には禁じられているのかと感じられた。

BBCが瓦礫となったガザの街を歩く一人の男性を写した写真を出していたと友人に教えてもらった。こんな写真だ。

瓦礫となった街を歩く一人の男性

あぁ、とても似た光景を見たことがある……と思い、思い出した。

ポランスキーが撮った映画「戦場のピアニスト」のポスターになった写真ととても似ていた( その写真はここで見られる )。ユダヤ人である主人公のピアニストは、ワルシャワのゲットーに入れられ、強制収容所送りをすんでで免れる。ゲットーでは蜂起が起きるが、それもナチスの圧倒的な攻撃で無惨に終わる。ボロボロになった街をひとり歩いているピアニストのシーンがこの写真と、非常に雰囲気が似ていた。

「なすすべもなく、破壊が行われる」。とりあえず命を取り留めた者を待っていたのは、遺体が転がる、かつての面影が消え去った世界。44年と09年の時差を超えて、ワルシャワとガザがつながっていることを2つの写真が教えてくれた。

世界はいまだにこのようなことを犯している。何度も何度も奪われている者たちからは「We can't have a dream」という言葉が聞こえてきそうだと思った。それでも生き延びた者は、明日を生き長らえるために瓦礫の中から、使えるものを拾いだす。生活を少しでも建てなおすというのが、ささやかな抵抗であるかのように。

「『戦場のピアニスト』、そしてファルージャ」 という文章をかつて書きました)


具体的なニュースはあまり追っていません(単に今、ガス欠状態だというだけ)。ちょっとだけ、ニュースの一端をメモしておきます。

19日、負傷していた3人がガザで死亡。ガザ市の瓦礫からは12人の遺体が発見された。

18日には95人の遺体が瓦礫の下から取り出されている。

これで今回の攻撃の死者数は1318人になったとのこと。パレスチナ保健省は、そのうちの400人近くが子どもであると発表した。負傷者は6000人を超えていて、病院のキャパシティは追い付かないという(IMEMC Newsによる)

関連記事: 「家屋の瓦礫の下から、数十体の遺体が掘り出されました。生き残った家族は、大切な人たちが生きながらえているのかどうかを確認しようとするにも、停戦を待たなければなりませんでした」――ハテムさんの支援活動日記、1月18日分 [tnfuk]


・感銘を受けた文章 「気の遠くなるような暴力と不正義の積み重ね」 [Arisanのノート]

パレスチナ問題を理解するための基本前提 [モジモジ君の日記。みたいな。]

・気になる記事メモ

Israel use of white phosphorus in Gaza 'undeniable': Amnesty

Arabs: Israel ammo in Gaza had depleted uranium

自宅消滅、地面に大穴…嘆きのガザ住民「俺が何をした」

ガザ:がれきの街をルポ 「戦車が病院消火まで妨害」

【ガザ侵攻】一部で市民生活戻り…ハマス交通警察官の姿も

Bono's Shout Out to Palestine

"This is not just an American dream," he said, adding that it was "also an Irish dream, a European dream, an African dream... an Israeli dream... and also a Palestinian dream."
(ボノ君、オバマ就任祝いのコンサートで、「The name of love」ではなくて、「Bloody Sunday」を歌ってほしかったよ)

衝突なお継続 ガザでパレスチナ人が死亡

ガザ停戦 イスラエルの狙い再び空振り

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■ コメント&トラックバック (6 件)

コメント by :とも

19日夜、日本の報道で、瓦礫と化したガザが大々的に映されていました。
家族がチャンネルを変えたので「変えないで」と私が言うと
「こういう映像を見ると、悲しむだろ」と返ってきました。
それでもチャンネルを戻してもらい、じっと見入っていました。
泣き叫ぶご婦人、死んだような目をした男性、瓦礫、瓦礫、瓦礫…

途中、子供が瓦礫の上にいて「何を探しているの?」と記者に聞かれ
「おもちゃ」と答えていました。その素直さに、少し救われました。
絶望も、わずかな希望があれば、乗り越えていけるかもしれない。
そう願わずにはいられない、ガザの光景です。

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2009.01.20 (Tue) 11:00

この記事も気になる

コメント by :PC-maco8000

上記、毎日新聞の「ガザ:がれきの街をルポ」のページの下部に
【関連記事】として出ている「質問なるほドリ:ハマスってどんな組織?」
(リンクが切れるのは時間の問題なのでURLは下記)
http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/news/20090113ddm003070090000c.html

ウソや偏った情報が満載。
この3週間の報道に接して、やっと関心を持った人が
「ハマスってそういう組織なのかあ」と思ってしまうのは残念。
こういう記事に対してどうしたらいいんだろう…。

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2009.01.20 (Tue) 14:54

勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり

コメント by :

トラックバック from:米流時評

2009.01.20 (Tue) 22:48

「この記事も気になる」

コメント by :sarama

たしかにひどいですね>「質問なるほドリ:ハマスってどんな組織?」

とくにひどいと思うのは以下のあたりでしょうか。



Q ハマスってどんな組織?

 A イスラエルの生存権を認めず、パレスチナの地にイスラム国家の樹立を目指す組織です。……07年6月にガザ地区を武力制圧しファタハ勢力を追い出し、ガザ支配を確立しました。

Q なぜこの時期イスラエルは大規模な軍事作戦を始めたの?

 A きっかけはハマス側がイスラエル領内へロケット弾を発射したことです。

***

「あなたの質問をお寄せください

 〒100−8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係(naruhodori@mbx.mainichi.co.jp)」とあるので、意見を送ってみようと思います。

なお、とても参考になる文章が翻訳されて、サイトに出ました。

「ガザ Q&A」
http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/places/znet090116.html

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2009.01.21 (Wed) 04:22

定額給付金の支給について

コメント by :吾住 文甫

各自治体によっては、支給日が一定しておらず支給日までの期間中病気等で亡くなった人には受給資格はないのか?

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2009.03.10 (Tue) 13:15

定額給付金の支給について

コメント by :吾住 文 甫

各自治体によっては支給日が大幅に遅れ期間中病気等で亡くなった人には受給資格があるのか?

トラックバック from:

2009.03.10 (Tue) 13:41

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