2008.03.31
日記:4800ドルと4800円
帰宅して数日間、完全に心身ともにくたびれてしまい、コンピュータに向かうことができなかった。その間に桜は一分咲きから五、六分咲きにまでなっている。柳の緑もだんだんと濃くなり、風は冷たいのだけれど、春がもうやってきている。なんとか抱えている原稿を仕上げて、春のいっときを楽しみたいなぁ。
友人から興味深い話を聞いた。知合いの米国人一家が来日していて、京都を案内して歩いていたとき、御一行のひとりが街中でこけてしまい、顔を切ってしまったのだそうだ。ぐさりといってしまったのか、出血が激しい。
救急車も呼ばれ、その人の持病もあるので、大学病院へ運ぶことになったそうだ。幸い、傷の処置も問題なくすみ、持病のほうも関係なさそうということで、治療はとどこおりなく終わった。その病院は傷を縫わないでも皮膚をくっつけられる最新のパッチのようなものを導入していて、とても簡単に終わったのだそうだ。しかし、支払いを待つ一行は沈みこんでいる。
支払いの番が近付くと、怪我人のお連れ合いがクレジットカードを握りしめている。友人が支払額を聞き、それを英語で伝えた。「4800(えん)」。それをカードで支払おうとするのを見て、友人はもう一回、言い直した。「4800円、つまり48ドルですよ」、と。一行の顔色が変わった。「え、4800ドルじゃないの? 48ドル?!」。
安堵というか、喜びに近い雰囲気に一行は包まれ、とても元気になって、支払いを終えた後、楽しみにしていた清水寺に向かったのだそうだ。
*
医療費がベラボーに高い米国の事情は、マイケル・ムーアの「Sicko」でよくわかっていたけれど、本当にそれが体の髄まで染みているんだな。顔の怪我ひとつで48万円もの出費を覚悟してしまうのが痛々しい。ほんと、病気になることが家計の命取りになる。というわけで、(日本の医療も問題噴出なのだけれど)この一家にとっては、「設備の整った大きな病院で、最新の治療をしてもらい、たった48ドルとはアメージング!」な体験になったらしい。何よりも気持ちよく観光が続けられてよかった。
反対に米国に行って、病院に行ったりできないなぁ。将来日本の医療費が米国のようになったら、とてもやっていけない、ということを、病院通いが続いている私はしみじみと思った。
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今はムカシの物語ですが
コメント by :ダルヴィーシュ見習い
まったく逆のケースですが、かつて東西の分裂時代に東ベルリンで同行者がバスに乗る際につまづき、あごを二針、東ベルリン(東ドイツ)の病院で縫いました。海外旅行保険には加入していたので支払いの心配はしていなかったのですが、請求金額が「3USドル」と言われて負傷者もワタシも、しばし呆然としたことがありました。コミニュズムには一貫して反対ですが、客観的にかの体制のよかった点も検討してみてもいいかなあ、と思うことが、最近何度かありました。
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2008.04.03 (Thu) 08:40