2005.08.13
一方的「撤退」を前に ──小間切れの情報をつないで
(12日付でナブルス通信を発行していますが、ここのところの状況をざっとまとめたものです。ウェブ上にはあがっていません)以下、個人的に思うところをつらつらと。
パレスチナ赤新月社が出したレポートを見て、緊張感ともの悲しさを同時に感じた。「撤退」を前にパレスチナ人がやっている準備のひとつは、救急車や医療体制の配備だったからだ。それももっともなことで、ガザでは「撤退」の動きで幹線道路が止められ、基本的に4つの孤立した地域になることが予測される。それを見越して、医療体制を組んでいるというのが基本的な内容だった。
細かい部分までは読み切れていないが、医療設備の充実していない地域にはICU救急車(なんと訳せばいいのだろう?集中治療設備付き救急車?)などを配備し、寸断される交通網に対応しようとしている。医療スタッフ、ボランティア、それに医薬品の配置や手配も行い、できるかぎり犠牲が大きくならないようにデザインしている。医薬品も十分備蓄した。しかし、もし負傷者がものすごく出た場合にはどれだけ対応できるか──その心配をレポートは書いていた。
"Palestine Red Crescent Society prepares for Gaza disengagement"
「撤退」に反対するイスラエルの右派が何をしでかすかもわからない。それ以上に、もしパレスチナ武装勢力が「撤退」の動きに何か攻撃を行ったら、 大侵攻を行うとイスラエル軍部は言っていて 不安は尽きない。今までも、イスラエル軍は国内世論を納得させるために、ラファへの大侵攻などを行ってきたから、あり得なくはないと思ってしまうのだ。
ユニセフは子どもの犠牲を出さないように という警告の文書を発表した。入植者の子どもも、パレスチナの子どもも「撤退」の混乱で犠牲にされてはならないと、子どもたちの安全を確保するようにアピールしている。
こんな時期にイスラエルは軍がパレスチナ人に与えた損害を一切、訴訟させないという法律を成立させているのだから、余計に気が重い。
というわけで、「撤退」後のことより、私の頭の中はこのプロセスがどう無事に行われるかでいっぱいになっている。
実際には朝日新聞が11日付で大きく報じたように、「撤退」しようとガザの状況が劇的によくなる可能性は非常に少ない。世銀の出した経済の予測が図表になっていたけれど、貧困層の割合、失業率、1人当たりのGDPの3項目で、現在よりマシになるのは「撤退後に全占領地で検問所廃止、ガザ港供用」という場合だけだ。しかし、これも今の状況ではほとんど見通しがない。
そういえば、イスラエルはこのガザからの一方的「撤退」をもって、「占領そのものが終わった」ことに国連安保理でさせたいのだという記事を読んだなぁ(どこに行っちゃったっけ)。フランス、英国、米国にそう取りはからうよう頼んでいる(約束している)という内容だった。[これはまた後追いするつもり]
ガザではパレスチナ自治政府が音頭をとって、ガザ「撤退」を祝う行事を繰り広げている。脳天気だなぁと思うが、確かに入植地がなくなって、兵士がいなくなるだけでも嬉しいよね。APの記事ではお祝いの行進に二人の孫娘とやってきた漁師の妻、ラビヤ・ヒッシさん(52)の言葉を載せている。今までは軍による制限を受けて、ほとんど漁場がなくなっていた。
私たちはこの瞬間を何十年も待ってきたのです。血や恐怖の替わりに、喜びと平和を町で噛みしめるときを待ってきたのです。次の世代の未来が輝かしいものになることを私は願っています」
本当にこのような言葉のとおりになったら、どんなにいいだろう?ぬか喜びではない真の自由が得られる時がパレスチナに来るのはいつだろう?
写真: 撤退を祝い、パレスチナの旗を掲げる漁師の舟 (1ヶ月くらいで見られなくなります)


