2005.07.22

「ガザに残るためにパレスチナ人になってもいい」入植者

少し前にガザのイスラエル人入植者のおじさんが「ガザに残れるなら、パレスチナ人になりたい」と発言し、ロイターなどが報じて話題になった。

「イスラエル国籍を失うのはつらいが、私はここに残りたい。私は平和のためのテストケースになることを希望している」

この人はアヴィ・ファルハンさんといって、リビア生まれのユダヤ人。3歳のときにイスラエル建国でイスラエルに「追い出されて来た」(本人談)。シナイ半島の入植地に住んでいたが、シナイのエジプトへの返還によりガザに入植してきた。そこで作り上げてきた生活から引き剥がされるのはたまらないということらしい。

パレスチナの役人は「シオニズムは宗教を(ユダヤ教だけに)限っているが、パレスチナはそうではない。もし、入植者たちが望み、パレスチナの法律の元で生きるというのなら歓迎する」と発言している。

これに対して、イスラエル政府の高官はファルハンさんの発言を自分たちの家を残すための策略だと一蹴し、「もし、守ってくれる軍隊がいなくなったら、たちどころに攻撃される」としている。入植者の中でも「共に生きていくには憎悪が深すぎる」という意見がある。しかし、ファルハンさんは他にも7家族がパレスチナ人になってガザに残りたいと希望しているという。

ここまではロイターの "Jewish settler seeks to become Palestinian" より。

ただ、このファルハンさん、ちょっと虫が良すぎるんじゃないの?という面も他のインタビューを読むとけっこう目につく。アルジャジーラでのインタビューが突っ込んでいて面白かったが、ウェブから消えてしまった。その中で彼は「ガザは2000年前からユダヤ人の土地だった。そこに戻ってきたんだ」とか語っていた。

他のサイトに残された抜粋部分ではこんなことを言っている。

「パレスチナ人がイスラエルのウンム・アル・ファヒム村に残って住んでいるように、私もユダヤ人入植者としてここに残りたいだけなんだよ」

──しかし、ウンム・アル・ファヒム村は(元から)パレスチナ人の村でしたが、おたくのエル・シナイ入植地は占領地に作られた違法なものでしょう?

「どちらも村であることには変わりないさ。「入植地」という言葉は単にレキシコン、まぁ、言葉のアヤみたいなもんだ。それは「入っていって住み込む」ということなんだよ。それを世界は私たちが土地を征服したかのように否定的に語るんだ。ウンム・アル・ファヒム村も私たちのエル・シナイ入植地と同じく入植地だ」( "Avi Farhan" Rafah Pundits Radioより、このオジサンの写真付き)

自分たちが入植者として、どれだけの苦しみをガザの人に与えてきたのかなんて一切おかまいなしですなぁ。入植者が通るたびにガザの幹線道路は封鎖され、水も奪い取られ、海にも人々は行けず……そして、軍の攻撃はひっきりなしという……。

このオジサン、「パレスチナ人になって、パレスチナ評議会の議員にもなってみせる!」なんて息巻いてました。ふぅ。

それは別にいいんだけど、自分たちが特権的に作ってきたガザでの財産をそのまま保持できると思っているのかなぁ。パレスチナ人と同じように土地を分け合って暮らすということを考えているようには思えないのが怖い。


この入植者のオジサンの件はべつにして、この一件は面白いことを考えさせてくれた。

まず、パレスチナ人というのは、宗教や民族で定義されたものではないので、ユダヤ人でもパレスチナ人になれるという点(忘れていたなぁ)。

そして、ガザだろうと西岸だろうと、べつにイスラエル国籍とか構わなければ、ユダヤ人でも「住むことはできる」んだということ。結局は問題は「ユダヤ人だけの土地でないといけない」ということに尽きるんだなぁ。パレスチナ人が住むことを許さない、自分たちだけの独占空間でないといけないということが(エルサレムをはじめとして)一番の問題だ。

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