2005.01.17

シャロンの十八番(おはこ)炸裂? 

パレスチナではアッバス氏が議長(プレジデント)就任演説を果たしたばかりだが、その直後にイスラエルのシャロン首相は「パレスチナ武装勢力へのいっそうの攻撃」命令を下し、状況はより懸念される方向へ向かっている。

カルニ・クロッシングでファタハを含む3党派の軍事部門による自爆攻撃 が起き、イスラエル兵6人が殺されたことを口実にして、シャロンはイスラエル軍に対して、

「『テロ組織』を撲滅するために、期限も限度も方法も問わず、作戦を行うように」

という内容の通達を出したとAPやAFPは伝えている。アッバスが抵抗グループを押さえられないなら、自分たちがやるということだ。そして、15日(土曜)には早速、ガザ市とラファで8人のパレスチナ人が殺された。

ガザ市では、東部のザイトゥーン地区にイスラエル軍が侵攻し、戦車からの砲撃などでパレスチナ人を殺害。ここだけで最低4人の死者と17人以上の負傷者が出た。他に作戦中に2人の活動家が殺されている。

また、ガザ南部のラファでは、国境のゲートにパレスチナ国旗を掲げようとした20歳と19歳の若者2人が射殺された。

ガザ市東部にイスラエル軍の部隊はまだ居座っているという情報もある。この土曜には、パレスチナ武装グループが手製のロケット弾をイスラエルの町・スデロトに発射して、イスラエルの若者がひとり重体になっている。

日曜には夜明けからイスラエル軍によるハンユニスへの砲撃が行われ、また家屋破壊もなされた。また、イスラエル軍の砲撃(一説には機関銃)で母と子どもが殺され、残った家族も負傷した(ガザ)というニュースや、活動家ら15人が殺されたというニュースも入っているが、詳細は伝わってきていない。

この状態でも、イスラエルのハアレツ紙によると、イスラエル軍は自制をしていて、作戦開始はしていないということだ。大規模作戦の準備はされているのだが、エジプトのムバラク大統領などからの提言もあり、アッバス氏に時間を与えている状態だという。

アッバスは各派に武装闘争の停止を呼びかけている。「そのような行為はパレスチナの利益にならない」と。しかし、その先からイスラエル軍による攻撃は行われている。


日曜の状態がまだはっきりしていないが、「相も変わらず」ガザでは攻撃が行われていると言って良いんだろうな。

アッバスが議長に選出されたことで、ブッシュも含めて「和平への動きを再開」と世界が注目したことに対して、シャロンは今までどおりの計算され尽くした行動に出た。

シャロンにとっては、万が一、アッバスが抵抗グループの武装闘争をやめさせることができれば、それはそれでいい。自治政府がイスラエル軍の替わりに取り締まりをしてくれるわけだから。が、アラファトもできなかったことをアッバスができるはずがない。

イスラエル軍が攻撃を続けているなかで、何一つ状況改善の約束を(イスラエルから)与えられていないアッバスに従う理由は武装闘争派にとって何もない。アッバスも内戦の可能性を高めることまでは行いたくない。この状態をシャロンは見越している。

そして、アッバスが武装闘争を停止させられなければ、シャロンは「交渉相手はいない」とアラファトのときと同じ口上で一方的な展開をすることができる。それに新たに大きな作戦を仕掛けることができる。

ガザからとりあえず撤退し、西岸の入植地をイスラエルのものとして恒久化するという野望に近づくためにシャロンはあの手、この手を打っているというのがよくわかるなぁ。

ガザからの撤退が実際にはどういうものになるかわからないが、自分の党内からも根強い反発を受けているこの撤退をするためには、ガザをもっと徹底的に攻撃し、抑えつけないとダメなわけなので、いまさら「和平プロセス再開」なんてムードになっては困るのだ。

シャロンの一人勝ちに見える状況だけど……。

冷静になって考えれば、さらなる禍根を積んでいくプロセスがイスラエルにとってもいいはずはない。

大きな軍事侵攻がまた始まる予感がしている。そして、「テロリストのせん滅」という名の下に犠牲になるのは、ごく普通に生きている人々だ。

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