携帯サイトについて

2012.12.14

「逮捕」という名のみせしめ

私はとりわけ、私と同じように大学で教えている人、医師や科学者などなんらかの意味で専門家と呼ばれている人たちに呼びかけたいと思います。「無知で冷静さを欠いている」かのように見える市民にこそ学んで下さい。その声が無視され、軽んじられている人のために語って下さい。

 真実は、批判と応答を通じて初めて、姿を現します。政府をはじめとする権威が語ることではなく、その反対側に立ち、権威に対して反問することを通じて真実が明らかになるように行動して下さい。まちがってもいいのです。常に弱い側に立ち、その軽んじられる言葉や存在を擁護し、自らが仮にまちがうとしても、逆説的に、権威との言説の応酬の中で真実が明らかになるように、語って下さい。あなたの専門分野が何であるかは、関係がありません。勇気をもって下さい。

これは12月9日に2ヶ月近く前のJR大阪駅構内通路をつっきったことで、「鉄道営業法違反」「威力業務妨害」「不退去」の容疑で逮捕されたうちの一人、「モジモジ先生」こと下地真樹さんが留置所から出したアピールの一部だ(詳細は 大阪府警があらたに2人逮捕(12月9日) 」に)。

この文章を読んで思ったのは、E・サイードの『知識人とは何か』である。

このところ大阪では不当逮捕が続いていた。10月5日関電本店前で一人(その後、これに関連してさらに一人)、11月13日大阪市のガレキ処理説明会前に会場で四人(うち一人は釈放)。そして、この12月9日。現在計7人の自由が奪われている。

いずれも原発に反対し、また大阪でのガレキ焼却処理に反対してきた中心的メンバーばかり。どのケースもありえない罪状がつけられている。今回の下地氏らの場合も同じく。

パレスチナで行われている、イスラエル軍による「逮捕」(パレスチナ人は「拉致」という言葉を使う)とまるで同じだ。日本でそんなことが起こると思っていなかった人には驚きだろうが、それは以前から野宿支援者などにも起きていたことだ。

しかし、ここまで公然と罪もない人を拘束できる世の中になってしまっていることには唖然とする。自分はなんて酷い社会に生きているのだろうかと思う。

「逮捕」される前の下地氏は、先に逮捕されていた仲間の救援にも精力的に動いていた。天満署前でくだらない「警備」のために居並ぶ警察官たちを前に、何度もその仕事をしていることの非人間性を「講義」し続けた。私はその映像を見て、とても心を動かされた。相手は仕事のために表情も消して反応もしない。けれども、下地氏はその中にある一人ひとりの人間の心に対して、諦めることなく、言葉をかけていた。

その粘り強さに私はうなった。相手がどうであろうと、人間としての信頼を失わず、不正なことには声をあげ続ける。どこかで「諦め」かけていた私を下地氏の言葉は引き返らせてくれた。

不当勾留中の下地さんから 声明文が届きました の全文をどうか多くの人に読んでもらいたい。私(たち)が希望の小さな灯を持ち続けるためにも。

そして、下地氏らへの釈放を求める署名にも賛同してもらいたいと思っている。 放射能と有害物質を含む震災がれきの広域処理に反対する市民の逮捕は不当です。下地真樹准教授らの即時釈放と謝罪を求めます。 に。

ジェニンで12歳と13歳の子どもが逮捕されたと聞いた日に。(ビ)

2012.12.05

【ナブルス通信】EU、ガザ攻撃の直前にイスラエルの武器見本市を後援

イスラエルによるガザへの8日間攻撃(「雲の柱」作戦)を含み、この11月にパレスチナでは191人が殺され、1492人が負傷したとパレスチナ保健省は発表しました。停戦合意後もガザにはしつこく細かい攻撃が行われ(それらはほとんど報道されない)、漁船が襲われ、漁師が逮捕され、またボーダー近くでは発砲によって重体者が出ています。西岸でも3日ナブルス近郊で、青年が射殺されました。9歳の男の子までも逮捕されています。

国連総会での「オブザーバー機関」から「オブザーバー国家」への昇格が11月29日にありましたが、パレスチナの現実はあまり変わっていません。

このようなイスラエルの残酷な行いを支えてきたのは、国連安保理で拒否権を発動しつづけ、なおかつ、毎年多額の軍事援助金を与えている米国だということは知られていますが、EUとイスラエルの関係についてはあまり語られません。

前号で取り上げたオマールくん(11ヶ月)の命を奪い取ったミサイルの陰にあるものを書いた記事をおくります。


「EU、ガザ攻撃の直前にイスラエルの武器見本市を後援」

2012年11月25日

デビッド・クローニン

The Electronic Intifada

ハニーンは10ヶ月、オマールは11ヶ月、そしてイブラヒムは1歳だった。ガザを襲った攻撃の中で、この子どもたちはイスラエルの「精密誘導」ミサイルによって殺された。

彼らが殺される数日前、欧州委員会はテルアビブで開かれた「第二回国際国土安全保障会議」を後援していた。会議というよりは市場のようなもので、イスラエルの有名な武器製造会社たちの展示が呼び物になっていた。このイベントではイスラエル大統領シモン・ペレスが閉会挨拶を行い、若かりし頃武器取引の担当者として「イスラエルの国防産業の創立に参与」したことを誇らしげに語った。ペレスは「世界の国土安全保障を先導する革新的な技術発展を目にして嬉しく思っている」と語り、「創造性と英知、勇気と大胆さを持つ国」の代表であることの誇りを表明した。

私にわかる限りでは、この展示会に対するEUの関与はメディアから見過ごされた。まったく憂慮すべきことだ。これが意味するのは、欧州委員会はパレスチナの赤子たちに爆弾を落とすことで儲けている企業を支持することができ、そのことに誰も眉ひとつ動かさないということなのだ。

テルアビブで開かれた展示会へのEU参加を承認した役人たちは、それが最近のガザに対する攻撃と無関係であると主張することなどできはしない。両方とも、軍需産業に製品を宣伝する機会を与えたのだ。ひとつは展示会の会場で、もうひとつは「戦場」において。武器商人のあいだでは有名な雑誌ディフェンスニュース誌が伝えるところでは、イスラエル国営の武器製造会社ラファエル社は「緊急の24時間操業を開始」したとのことだ。最近イスラエルの武器庫に加わった新顔のミサイル「迎撃」システムであるアイアンドームの急増した需要に応えるためである。

 戦争への助成金

これは例外的な事例などではない。EUの各組織はイスラエルの武器製造会社が参加し、ペレス大統領の言葉を借りれば彼らの最新の「革新的な技術発展」を宣伝するための見本市に定期的に出席している。例えば9月には欧州防衛機関がベルリン近郊で行われたベルリン国際航空宇宙ショーを後援したが、そこでは前出のラファエル社が展示を行っていた。6月にはパリで行われた武器見本市のユーロサトリーに数々のイスラエル企業が出店し、EUとNATOの代表団も参加していた。

戦争で儲ける者たちと付き合いを持つことそれ自体は非難されるべきではないかもしれない。だが、同じ者たちに助成金を与えることは、彼らの収益源がもとになる人権侵害に対する同意にほかならない。現在、イスラエルは800余りのEUが支援する科学研究プロジェクトに参加しており、その総額は43億ユーロ(56億ドル)に達する。イスラエルはEUの次世代の研究助成金であるHorizon 2020に対し、さらに大きな分け前にあずかろうと虎視眈々としている。

今月はじめに行われたテルアビブでの見本市で興味深かったのは、オリンピックのような巨大スポーツイベントで監視機器がいかに用いられていたかに焦点が当てられていたことだ。ロンドンがこの夏オリンピックを開催した際、EUはヒースロー空港における新しい保安機器の試験に資金提供していた。最近ガザの空で大量に使用されている無人攻撃機の製造会社であるエルビット社がこの試験の「パートナー」の一社であった。

たちの悪い皮肉

私たちの空港をより安全にするための方法について、EUがイスラエルに対し助言を求めているのは、まったくたちの悪い皮肉というほかはない。2001年、イスラエルはガザの唯一の空港を破壊した。この空港は950万ユーロ相当のEUからの援助によって建設されたものだった。それにもかかわらず当時のEU対外関係担当委員クリス・パッテンはこの損害に対してイスラエルを訴えることを拒否した。彼は次のような正当化を行おうとした。小切手がパレスチナ当局に渡った時点で、EUはもはやそれらを所有していないと主張したのだ。

昨年の今頃、欧州委員会はイスラエルによって破壊されたEUが援助した施設の82箇所にのぼるリストを公表した。当局はその結果EUにもたらされた損害は 3000万ユーロ近くにのぼると推計した。それでも、ブリュッセルの官僚主義はイスラエルの責任を追及する法的行動を起こそうとしていない。前回、 2008年と2009年にイスラエルがガザに対して行った大攻撃の際、EUはイスラエルによって受けた損害を修復するために緊急援助資金を動員した。アメリカとヨーロッパの武器と部品の援助によってなされた損害のために、である。

なぜEUはここまで熱心にイスラエルの戦争機械のご機嫌伺いをするのだろうか。ひとつの鍵は7月にEUの産業委員であるアントニオ・タジャーニ*1が発表した「競争的安全保障産業」のための「アクションプラン」に見いだすことができる。それによると「国際安全保障産業」は2011年において毎年1000億ユーロの規模であり、2001年から10倍に拡大したのだという。

(訳注*1 イタリア出身。イタリア空軍の役人となり、後にベルルスコーニ首相の報道官となる)

EUの役人たちはイスラエルが「安全保障」商品の世界第6位の輸出国であることを知っている。イスラエルと協力することは必要なのだ、と彼らはいう。ヨーロッパの「安全保障」産業を発展させるために。ベンヤミン・ネタニヤフの政府にへつらうことで、彼らはヨーロッパ企業が大もうけする取引を勝ち取るのを助けるというわけだ。例えばイタリアのフィンメッカニカ社は、イスラエルに訓練用ジェット機を供給する10億ドルの取引を今年始めに成立させた。

そしてヨーロッパの武器が不足すれば、彼らはイスラエルに頼むのだ。EUの国境機関であるフロンテックスは難民を監視するためにイスラエルの無人機を購入する計画を検討しつづけている。デンマークはリビアでのNATOの攻撃に参加して不足した分を補うため、イスラエルの爆弾を購入したと伝えられている。

来月、EUはオスロでノーベル平和賞を正式に受賞することとなる。私たちはEUが人権やその他の「価値」について果たした貢献について聞かされることだろう。その光景はまさに吐き気がするようなものとなる。EUのイスラエルに対するたゆまざる支援は、ほんとうに大切にされる「価値」とは金銭を単位として計られるものなのだということを証明している。ちがうというのならなぜ、EUはハニーン、オマールそしてイブラヒムをちいさな墓に埋めることで利益を得るものたちにこびへつらうのだろうか。


翻訳:がと

原文: EU sponsored Israeli weapons fair on eve of Gaza attacks

*デビッド・クローニン(David Cronin)は、欧州とイスラエルの関係を追う政治活動家。ガーディアンなど多数のメディアに寄稿。著書は"Europe’s Alliance With Israel: Aiding the Occupation”(2011)



11月29日、国連パレスチナデー(65年前に国連のパレスチナ分割決議案が通った日)に国連総会決議で、パレスチナの「オブザーバー国家」決議に反対したのは、米国、イスラエル、カナダなど9カ国、棄権した41カ国の中には英国とドイツが含まれていました(賛成は138カ国)。この「国家」承認については、改めてまた書きます。

イスラエルの西岸での入植地拡大に対して、憂慮を示し、大使の召喚を行うとした中にもEUの大国は含まれていました。しかし、上に見たように「兵器の開発と売買」というおおもとのところでは、繋がりが強いことがわかります。

日本もひとごとではなく、パレスチナ支援をしておいて、イスラエルに破壊されて、それを放置したまま、また支援をするというマッチポンプのようなことを行っています。それはイスラエルの「戦争犯罪」を補完してしまうことにもなります。それがちゃんと罪として問われないかぎり。

こんなお金の流れに関係ないのに、失われた命、奪われた健康、住まい、農地。。。パレスチナは「戦争見本ショー」の舞台ではないはずです。(ビ)


☆information 1

【署名願い・来週月曜10日まで】停戦しても占領とガザ封鎖は続いている 

STOP!!ガザ攻撃緊急行動「玄葉光一郎外務大臣への申し入れ書」

http://gaza2012.exblog.jp/17343521/

ぜひとも、賛同者を増やしたいですね。

☆information 2

選挙のひとつの目安として活用を!日本国内「イスラエル支援議員リスト」

http://palestine-heiwa.org/choice/g-list.html


http://0000000000.net/p-navi/info/news/201212052123.htm

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2012.12.02

【ナブルス通信】「ただ笑うことしか知らなかった」ガザの赤ちゃん

ガザへの8日間攻撃(「雲の柱」作戦)の犠牲者はいまだに出続けています。すでに174人を超えました。この数字にかき消されてしまう一人、ひとりの生と、家族を失った悲しみを少しでも「単なる数字」からすくいあげるために、次の記事を訳出しました。


「「ただ笑うことしか知らなかった」ガザの赤ちゃん」

2012年11月26日

ジョン・ドニソン

BBC NEWS MAGAZINE

イスラエル・ガザ紛争における民間人の死はどちらの側においても悲劇である。とりわけ、犠牲者に子どもが含まれる場合には。ガザのBBC特派員ジョン・ドニソンはそのような悲劇を間近に目撃した。

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私の友人であり同僚であるジハード・マシュハラウィーは、いつもガザ支局を退社する最後のひとりだ。よく働くが穏やかに話す彼はしばしば遅くまで職場に残り、常に手の届くところにあるノートパソコンでせっせと作業をしている。

ジハードは冷静で、落ち着いた頭脳を持っている。私のような連中が彼の周りでばたばたしているときでも、彼は落ち着いているのだ。ジハードはビデオ編集者で、私たちのオフィスを動かしている地元のBBCアラビア語担当スタッフのひとりだ。

しかし水曜日の終業前、ガザでの最新の戦闘がイスラエルによるハマスの軍事司令官アフメド・アル=ジャバリ氏殺害によって幕を明けて1時間かそこらのとき、ジハードは編集ブースを叫びながら飛び出してきた。

彼は階段を駆け下り、頭を抱えていて、顔は苦悶にゆがんでいた。

たったいま、友人のひとりからの電話で、彼は自分の家がイスラエル軍に爆撃され、11ヶ月の子どものオマールが死んだと知らされたのだ。

たいていの父親は、子どもがかわいいと話すものだ。

オマールは、絵本から出てきたような子どもだった。

今週、焼け跡となった自宅に立ちながら、ジハードは携帯電話の写真を見せてくれた。

それはいたずらっぽく、ぽっちゃりとまるい顔で、デニムのダンガリーを着た小さな男の子で、ベビーカーの中で笑っているのだった。黒い目をして、細い茶色の髪が眉の上にかかっていた。

「この子はただ笑うことしか知らなかったんだ」ジハードは私に言った。私たち二人が涙をこらえようとしていたときに。

「二つの言葉しか言えなかった。パパとママ」彼の父親はつづけた。

ジハードの携帯にはもうひとつの写真があった。ひどい有様の小さな死体。オマールの笑顔はほとんど燃え尽きて、細い髪は頭蓋骨と溶け合わさっているようだった。

ジハードの義理の妹のヘバも殺された。

「まだ彼女の頭が見つからないんだ」とジハードは言った。

彼の兄弟のアフメドはひどいやけどを負い、数日後に病院で亡くなった。

ジハードにはもうひとり子どもがいた。4歳のアリだ。軽傷を負った彼は、赤ちゃんの弟はどこに行ったのかと尋ねつづけている。

マシュハラウィー家の11人はガザ市のサブラ地区にある軽量コンクリートブロック造りの小さな家に住んでいた。5人がひとつの部屋で眠っていた。

そこのベッドはもはや炭同然だった。戸棚は焼けた子ども服の山で一杯だった。

台所の棚には、パレスチナのハーブやスパイスが詰まったプラスチック容器が溶けて並んでいた。遊園地の鏡に映った姿のようにその形はゆがんでいた。

そして玄関では、ミサイルが突き抜けた2フィートほどの穴が薄い金属の天井に開いていた。

イスラエルの空爆によるものであることを示す証拠があるにもかかわらず、何人かのブロガーはこの件がハマスのロケットの誤爆である可能性があるとほのめかしている。

しかしあの時、イスラエルの作戦が開始された直後、イスラエル軍はガザから迫撃砲が発射されたが、ロケット弾はごくわずかであると報じていた。

迫撃砲はジハードの家を包み込んだと思われる火の玉を引き起こしはしない。

他のブロガーたちは、ジハードの家に対する被害はイスラエルの強力な攻撃によるものとは一致しないと主張している。しかしBBCは非常に似通った火災被害を受けた他の爆撃地点を今週訪問した。それらはイスラエルが「電撃的局地攻撃」と呼ぶものが実行されたと認めた場所なのだ。

そこではジハードの家のように、構造的な損害は非常に少なかったが、犠牲者たちは重傷かつ致命的なやけどを負った。オマールはおそらく確実に、イスラエル軍が最初の攻撃としてガザ各地に行った20ヶ所の爆撃のうちのひとつに よって殺されたのだ。

オマールは、テロリストではなかった。

もちろん、オマールにかぎらず、双方の民間人の死はすべて悲劇だ。国連は予備調査を行い、ガザの158名の死者のうち103名が民間人だと報じた。

そのうち、30名が子どもだった。12名は10歳以下だった。1000名以上の人々が負傷した。

イスラエル政府のスポークスマン、マーク・レゲブはあらゆる非戦闘員の死もしくは負傷は悲劇であり、「作戦上の失敗」であると述べた。

イスラエルでも、犠牲者が出ている。4名の民間人と2名の兵士だ。多くの負傷者もいる。しかし、イスラエルの救急サービスが不安症や打撲傷によるものまで報告しているという事実は、紛争の非対称性を示すものだ。

ジハードの子どものオマールは、この最新の暴力によって殺されたおそらく最初の子どもだ。

最後の子どもの犠牲者のひとりは6歳のアブドゥル・ラフマン・ナイームで、停戦が宣言される数時間前にイスラエルの攻撃により殺された。

アブドゥル・ラフマンの父親のマフディ医師はガザ市のシーファ病院を率いる専門医のひとりだ。

彼が息子の死をはじめに知ったのは、ある患者を診察したときで、そこではじめてそれが彼自身の息子だとわかったのだった。

マフディ医師はアブドゥル・ラフマンに何日も会っていなかったようだ。負傷者を治療するのにあまりにも忙しかったのだ。

焚き火を囲み嘆き悲しむ人たちの中に座るジハードを残し、彼の家を離れる前に、私はたぶん、愚かな問いかけをした。オマールの死に怒っているかと聞いたのだ。

「とても、とても怒っているよ」彼はいった。携帯の写真を見つめながら、彼のあごは固く緊張していた。

これが、私が声を怒りに荒げるところすら見た覚えがない男から聞いた言葉なのだ。

考える暇すらほとんどなかった一週間のあとで、私の心はいまジハードとその家族とともにある。

驚くべきことに、そしてそんな必要などないのに、彼は私に対して、自分の心が私や他のBBCスタッフとともにあると言ってくれた。

「ほんとうにすまないと思っているよ、ジョン。行かなくてはならず、仕事を手伝うことができなくて」私たちが抱き合いさよならを言う前に、そう彼は言った。


翻訳:がと

原文: Gaza baby 'only knew how to smile' ※このサイトには、ニコニコ笑ったオマール君の写真も出ています。



犠牲者の一人ひとりが持っているストーリーを描き出せたらよいのでしょうが、それは難しいことです。私たちはオマール君の笑顔から、失われた一人の死を知り、そして想像力を働かせることができます。いったい、どれほどの人たちが家族の死にうちひしがれていることだろうか、と。

29日付けP-nabi info 停戦はしたけれど… に書いたように、停戦後もイスラエル軍は合意を破り、ガザへの攻撃を小規模にねちねちと仕掛けています。国連総会でのパレスチナの「国家」としてのオブザーバー参加承認のニュースに隠れて、ほとんど日本では報道されていませんが、昨日(1日)までに「停戦」破り13回、そのうち南部のラファの青年は撃たれて死亡。漁船への攻撃も常態化。今、入ってきたニュースでは中部のボーダー付近への爆撃で3家族が負傷し、うち2名が重体だとのこと。停戦は危うくなっています。イスラエル軍がこういう攻撃をしていることをちゃんと書きとどめておきたいと思います。国連総会のことはまた今後の通信で。西岸での入植地建設許可もまた加速しています。

http://0000000000.net/p-navi/info/column/201212020653.htm

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2012.11.29

停戦はしたけれど…

ガザ攻撃の停戦から6日経ちました。ガザへの人道援助などが到着しています。しかし、懸念したようにまだイスラエル軍は攻撃を仕掛けています。やっぱり、これで終わりにはならんか!

空爆はしていないもののF16戦闘機は上空を低く飛び、ガザ北部では何回もの銃撃があり、負傷した人たちが10人以上出ています。南部のラファでも青年が撃たれて重傷を負いました。

封鎖の緩和については、まず海域が今まで3マイルだったところが6マイルに増えました。倍増!と、喜ぶのは数のまやかしです。5キロメートルが10キロメートル弱になっただけの話。ウォーキングで軽く歩けちゃう距離です。だいたい、オスロ合意でさえ、本当はパレスチナの海域はたったの20マイルだったのだから、その半分になったに過ぎないのですわ。

しかし、その「領海」とも言えない狭い海に、ガザの漁師たちはこぞって出航しました。そして、28日、6マイル付近で漁をしていた舟がイスラエル海軍艦からの攻撃に遭い、1つの船は破損、もう一つの船はイスラエルのアシュドッド港に連行され、乗組員7〜8人が拿捕されています。やっぱり、嘘じゃん。緩和されてない。封鎖と変わらないです。停戦合意破りです。

陸地の封鎖緩和については、これからの協議しだいで、まだ不明です。

8日間の攻撃の犠牲者は、パレスチナ保健省の28日づけ発表で174人が死亡、1399人が負傷(うち27人が意識不明)となっていますが、「また、新たに重体の人が亡くなった」というニュースもぽつぽつ入ってきているので、179人という発表をしたメディアもあります。

死者の名前と年を羅列したボード

170人の死者の名前と年 26日京都のビジルにて

攻撃で踏み荒らされたガザが少しの落ち着きを取り戻したのとは対照的に西岸でイスラエル軍が暴れています。連日の拉致(逮捕)が続き、全体数が今はわかりません。また、抗議の投石をした者たちへ実弾が発射され、2人が射殺されました。

このようなネチネチとした攻撃は今後も続くでしょう。そして、ガザからロケット弾を発射させるように仕向ける。そして、停戦破棄としたい。このようなイスラエルの思惑が感じられます。だから、注視が必要です。

「停戦」合意によって、支持率が下がったネタニヤフの内閣では、バラク国防相が政治から引退すると発表。もう自分の政治生命はないと踏んだのでしょうか。

「停戦」に反対するデモまで起きたイスラエルでは、この後退をとりつくろうというのか、イスラエルの高官と米国の高官がそろって「今回の作戦は来たるべきイランとの衝突の予行演習だった」とニューヨークタイムズに語っています。

「予行演習」でガザの人々、それも多くの子どもたちを殺したと発言できてしまうことにおぞましさを感じます。殺戮に取り憑かれた国のようです。

しかし、今回の攻撃でわかったように、ガザの人々は命以外失うものがない。皆殺しでもしないかぎり、イスラエルは「勝つ」ことはできないのです。

2012.11.22

【ナブルス通信】停戦!&「ガザは、なぜ、また苦しまなければならないのか」

日本時間22日午前4時(現地時間21日午後9時)、イスラエルとハマスの間の停戦が発効されました。この4時過ぎには、ガザにまだ爆撃がありましたが、2時間経ってもう爆撃の報告はなくなり、この停戦を祝うガザの人たちの声や姿が伝えられています。ガザの封鎖も緩和される予定。イスラエルのネタニヤフ首相は、とても言葉を選び、今回の停戦について、兵士達や国民に感謝を伝えると共に「国の南部に住む国民の平和のためだ」と語ったとのこと。しかし、実際はハマスを交渉相手にして、譲歩もしたため、目的は達せられなかったと言ってもいいでしょう。あるアナリストは「最も負けたのは(ファタハの)アッバス(蚊帳の外だった)。次はネタニヤフ」と発言していました。

しかし、ガザでは多くの人が命を落とし、また、傷つき、たくさんのものを失いました。公式にはまだ発表されていませんが、おそらく死者数は150人を越え、160人近くになっているはずです(日本時間22日午前3時くらいの報告)。負傷者は1200人以上(1500という数字も入ってきている)。殺されたうちの3分の一が子どもであり、また66%が民間人だということです。負傷者に至っては97%が民間人。( “Most”killed in Gaza “deserved it” even though they were children and civilians, says Israel’s Danny Ayalon )より。

イスラエル人の死者は5人。

こうしておかされた犯罪は責任を問うべきでしょう。

まだ、地上侵攻の可能性があった時に書かれた文章を翻訳しました。


「ガザは、なぜ、また苦しまなければならないのか ガザの苦悩を強いるもの」

2012年11月18日

ジョナサン・クック

先週後半、ガザ在住のパレスチナ人とロケット攻撃にさらされるイスラエル人の2人を招いた短いインタビューがCNNで放映された。インタビューはいつものような筋書きどおりには運ばなかった。

メディアは、イスラエルとパレスチナの紛争の調停役を装い、一般の人の理解を妨げる門番に徹してきたが、今度だけは、不本意ながら、実際に起きている事態を伝える窓になってしまった。

イスラエルとパレスチナ紛争に関して行われるインタビューは「バランス」を保とうとするのが常だ。そこにはふたつの目的がある。紛争の当事者である両者の主張が公平に示されているという安心感を観衆に与えること。そして、イスラエル人とパレスチナ人の苦悩を平等に並列することで、パレスチナで殺害されるのが一般市民であることに対する潜在的な憤激を吹き消すことだ。

しかし、ガザについて行われるそのような報道ぶりは、イスラエルの空爆がハマスの攻撃に対する報復であるというメディアの思い込みに基づいているため、聴衆の怒りをハマスにだけ向けるというさらに隠された機能を果たすことになる。そうすることで、暗黙のうちに、ハマスがイスラエル人とパレスチナ人の苦悩を生み出す諸悪の根源に祭り上げられてしまう。

しかし、CNNのインタビューは劇的に中断され、いつもの報道に見られるような配慮は吹っ飛んでしまった。

CNN の録画インタビューには、まず、ガザからムハンマド・スレイマンがスカイプで登場した。たぶん、防空壕のようなものなのだろう、窮屈そうに見える室内から、スレイマンは怖くて、外出できないと話した。彼の言葉の背後から、近所から爆弾の炸裂する鈍い音が聞こえてくる。ムハンマドは、時折、神経質そうに辺りを見回した。

次にニッシム・ナホオムというイスラエル人が登場した。このアシュケロンの役人は、自分の家族が味わう恐怖について話し、それはガザの住民の味わう恐怖と少しも変わらないと主張した。 でも、ひとつだけ違うとナホオムは急いで付け加えた。「イスラエル人の方が大変なんだ。というのは、イスラエルがガザ攻撃に使うミサイルや爆弾は精密に標的を狙っていると違い、ハマスのロケットは一般人に危害を加えることを目的としているのを知っているから」。

インタビューをしていたイッシャ・シセイは、ムハンマドに意見を求めた。彼が口を開いたその時、爆弾の破裂する音はそれまでよりもずっと大きくなった。しかし、外の出来事に口をふさいでたまるものかというように、彼はしゃべり続けようとする。彼を遮ったのは司会のイッシャ・シセイで、背後の音が気になったのか、その正体を尋ねた。

ムハンマドがちょうど、どちらの苦しみがより酷いのかという議論には与しないと言いかけた時だった。自分でもとても予想できなかったような皮肉なタイミングで、ものすごい爆音がして、彼の身体は椅子から放り出され、インターネットの接続が切れてしまった。画面はスタジオに戻り、シセイはムハンマドに怪我はないようだと言って視聴者を安心させた。

爆弾はムハンマドやニッシムよりも雄弁だった。

もっと時間があったなら、ムハンマドは、イスラエル人の方が苦しんでいるというニッシムの指摘を論破し、ふたりが置かれている窮状の決定的な違いを指摘したことだろう。

イスラエルの兵器が精度にはるかに優るからといって、それは少しの安寧ももたらさない。事実、ガザに暮らすパレスチナの民間人がイスラエルの精密な兵器で殺傷される可能性は、イスラエル人がガザから発射される粗野なロケット弾にやられる可能性よりもずっと高い。

「キャスト・レッド作戦(2008年から09年にかけての冬、イスラエルが行ったガザへの侵攻)」では、3人のイスラエル人がロケット弾の犠牲になり、6人の兵士が戦死した。一方、ガザでは1400人近いパレスチナ人が殺され、そのうち、少なくとも1,000人は非戦闘員だったとイスラエルのB'Tselem[人権団体]は伝えている。そのほとんどは、いわゆる精密とされる爆弾やミサイルの犠牲者だ。

もし、ニッシムのようなイスラエル人がパレスチナの兵器は粗野で精度が欠けており大きな危険に耐えているのだと本気で信じるのならば、兵器をもっと公平に分配しろとワシントンに訴えればいい。パレスチナはイスラエルと同じ程度の軍事援助を受け、もっと精度の高い武装を手にするだろう。

それが難しいなら、現在トンネル越しにこそこそ持ち込まれる武器よりもっと洗練された兵器をイランやヒズボラから堂々と持ち込めるように、自分たちの政府に要求すればいい。

ニッシムや彼の家族とガザの住民の決定的な違いは、ガザの住民のほとんどにはどこにも逃げ場がないということだ。この世で最も人口密度の高い場所のひとつで降り注ぐ爆弾の雨のなかでの暮らしを強いられる理由のひとつは、イスラエル、そしてイスラエルよりひどくはないが、エジプトが国境を封鎖し、監獄を作り出して、パレスチナ人を押し込めているからだ。

イスラエルはガザから港を奪い、空域を制限し、オスロ合意によって認められたもうひとつのパレスチナ領域である西岸地区への移動を制限している。イスラエルやイスラエルの支持者はハマスがパレスチナの民間人の中に隠れていると言うが、それは正しくない。むしろパレスチナの民間人は、狭く細長い回廊に暮らすことを強要され、それを戦争地帯に変えたのはイスラエル自身だ。

ガザに暮らす200万人近い住民の生命を脅す紛争を激しくさせる者は誰なのだろう?ハマスに罪がないと言うつもりはないが、パレスチナの武闘派組織よりもずっと悪い奴らがもっといる。

・罪人その1:イスラエル国家

イスラエルとハマスの最近の抗争の原因は、ハマスなのか、別な組織から射ち出されるのかはわからないものの、ガザから発射されるロケットとほとんどまったく関係がない。

抗争の原因はロケット弾どころか、ハマスが創設されるより何十年前までさかのぼる。原因は1948年に、パレスチナ人が現在イスラエルと呼ばれる祖国を追われ、ガザ回廊と呼ばれる狭い地域に押し込められたことにある。 そうして始めた不正な占領をイスラエルは止めないどころか、小さな領土に近年もますます包囲を強め、手をゆるめようとはしない。

イスラエルは経済を破壊し、インフラを定期的に破壊し、住民から移動の自由を奪い、人びとを不幸のどん底に落とし、ガザの首を徐々に絞めてきた。

ガザの人たちが、自分たちの海を使うことさえ制限されていることを見るだけで十分だろう。海を交通に利用できないと言うばかりではなく、ガザの人びとは、自分たちの海から魚を捕り食べることすら許されていない。ガザの住民には沿岸20マイルまで、魚を捕る権利が認められるとオスロ合意の1項目に書かれている。しかし、イスラエルは次第にそれを3マイルに制限し、その取るに足りない範囲の中でさえイスラエルの海軍艦が漁船めがけて発砲するので、とても漁になどでられないのだ。

ガザに暮らすパレスチナ人には、生存し、暮らしをよくするために奮闘する権利がある。その闘いはどこかを侵略すると言ったようなものではなく、自衛の闘いだ。占領、抑圧、植民地主義と帝国主義に対する自衛の闘いだ。

・罪人その2:ベンヤミン・ネタニヤフとエフード・バラク

イスラエルの首相と国防相は自ら直接手を下し、暴力の激化を図り、さらにイスラエルによる占領の実行を強化した。

イスラエルが新たな戦端をひらくとき、イスラエルとその支持者が必ず、最初にやることは、事態の進展の時系列をごまかし、責任をごまかすことだ。メディアは、この情報操作に喜んで加担し、見当違いの言い分を繰り返してしまう。

4年前の「キャスト・レッド」作戦の時とまったく同じで、イスラエルは「報復」攻撃をするための前提作りを計ったというのが真実だ。4年前、イスラエルは、ハマスとの間で合意した6ヵ月の停戦を破り、ガザに侵攻し、6人のハマスのメンバーを殺害した。

今度は、11月8日、2週間にわたる緊張の緩和を破り、イスラエルはガザを侵攻し、同じ目的を達成した。イスラエルの弾丸に倒れたのは、おもてでサッカーボールを蹴っていた13才の男の子だった。

それから始まったお返しの暴力で4人の兵士を含む8人のイスラエル人が負傷し、5人のパレスチナの民間人が殺害され、負傷したガザの住民は何十人にも上った。

11月12日、事態を沈静化するため、パレスチナの武闘派組織は停戦に合意した。しかし、それは2日しか続かなかった。今回も停戦を破ったのはイスラエルで、ハマスの軍事指導者、アハマド・ジャバリが暗殺された。 こうしたイスラエルの数々の挑発に耐えられず、ガザからはロケットが発射された。そして、それが今回の紛争の原因であるかのように、ゆがめて報道されてきた。

しかし、ネタニヤフとバラクはガザ侵攻への直接の口実作りを担っただけではない。ハマスとの間により長期にわたる停戦を合意する機会を怠慢にも追求しないという罪も犯した。

いまや、イスラエルの平和活動家ゲルション・バスキンのおかげで、ジャバリが暗殺される前、イスラエルとハマスの間に長期の停戦を打ち立てようと、エジプトが仲介に動いていたことがわかっている。ジャバリはどうやら停戦に合意をほっしていたようだ。

バスキンは、昨年、ジャバリに捕虜交換を合意させ、イスラエル兵ギラッド・シャリットの釈放に主要な役割を果たし、両者から仲介役として信頼される人物で、今回も停戦交渉に深く関わってきた。彼はハアレツ紙への寄稿で、ジャバリ暗殺が「停戦合意の可能性、エジプトが仲介者の役割を演じる可能性を摘み取ってしまった」と記した。

この平和活動家はすでにバラクと会い、停戦合意の可能性を伝えていた。しかし、国防相とネタニヤフにはハマスとの間の緊張を終わらせるよりも、もっと切実な配慮があったようだ。

パレスチナとイスラエル、双方の人命を救うための枠組み作りよりも重要なこととは一体何であろうか。バスキンは、その答えを暗示する。「決定に対する評価を下すのは有権者だ。残念ながら、強攻策は票になる」。

ネタニヤフとバラクの頭に真っ先に思い浮かんだのは1月に予定されるイスラエルの総選挙だったようだ。

バスキンが言うように、イスラエルの指導者たちが近年の出来事から学んだ教訓は、戦争が右派だけを利することだ。ネタニヤフはほかの誰よりも、それをよく知っていたはずだ。彼はこれまでに二度、「より穏健な」政敵が選挙前に始めた戦争のおかげで、首相の座を獲得したからだ。

イスラエル以外の場所ではとてもハト派と呼ばれるべくもないが、この国の独特な状況では穏健派と目されるシモン・ペレスは,1996年、レバノンに侵攻し「怒りの葡萄」作戦を始めた。それが次の選挙の敗因になった。中道派エフード・オルメルトとツィピ・リヴニは2008年後半にガザを攻め、ネタニヤフを政権につける手助けをした。

イスラエル人はどうやら、厳しさをむき出しに、鉄拳をビロードの手袋で隠そうとすらしない指導者を好むようだ。

ネタニヤフは「防衛の柱」[「雲の柱」]作戦を始める前から、すでに世論調査でリードしていた。しかし、ネタニヤフの政治的な双子と呼ばれ、ふたりが軍の突撃隊で一緒だった頃から軍事面ではネタニヤフの師匠とみなされるエフード・バラクの政治生命は風前の灯のようだった。

バラクは自分の立場を改善し、自ら率いる独立党が議席を得るのに必要な票を獲得するために、政治運動ではなく軍事行動がどうしても必要だった。ネタニヤフはガザを叩いても失うものはほとんどなかったから、それに喜んで手を貸したのだろう。

・罪人その3:イスラエル軍

イスラエル軍は「抑止原則」と「質的に優る軍事力」という2つの教義の中毒にかかっている。両方ともそう言うのは洗練されたいい方だが、つまり、やくざの口調っぽくすれば、敵を「ぶちのめす」のはイスラエル軍だけにしておきたいのだ。イスラエルの流儀にすれば、抑止はバランスをとって恐怖を減らすことではなく、イスラエルだけが望む時に脅しをかけられる専有権以外の何物でもない。

だから、ハマスがロケットをため込めば、北のヒズボラのように、イスラエル軍の機嫌を損ねてしまう。イスラエルは近隣の敵が命令に背き、抵抗する能力を持つことに我慢がならないのだ。

ハマスのロケットを片付ける機会が得られるならば、軍はネタニヤフとバラクの選挙運動に喜んで協力する。

しかし、イスラエル軍にはもうひとつ、ハマスを再び懲らしめようと躍起になる戦略的な理由もあった。

先週、イスラエルによるジャバリ暗殺の直後、ハアレツ紙の主席軍事問題専門家の2人が軍の行動の裏にある論理を説明してくれた。その記事によれば、「イスラエルはこれまで長い間、ガザ地区で封じ込め政策をとってきた。フェンスの西、『境界線』と呼ばれる幅数百メートルの地帯*1からイスラエル軍を排除しようとするハマスに対し、イスラエルは封じ込め政策のおかげで、打つ手も限られ、フェンスをめぐる新しい争いではハマスに主導権を許してきた」

[*1…ガザ地区の面積の17%にあたる]

要するに、軍はガザの広い地帯を好きな時に出入りできる遊び場とみなしたいのに、ハマスはそれに歯向かい、司令官たちの逆鱗に触れたのだ。

イスラエルは、ガザを取り巻くフェンスの内側に、中には1キロもの幅を持つ「緩衝地帯」と呼ばれる場所を作り出した。パレスチナ人は立ち入り禁止だが、イスラエル軍は「侵略」の出入口として利用できる場所だ。ガザを取り巻く監視塔にはリモコン操作の銃が据え付けられ、近づきすぎたとみなされれば、パレスチナ人には容赦なく弾が飛んでくる。

ジャバリが法に依らず処刑される直前に起きた3つの事件から、ガザの支配をめぐる抗争の構図がよく見えてくる。

11月4日、イスラエル軍はガザで若いパレスチナ人男性を射殺した。フェンスに接近しすぎたと言われている。パレスチナ人によれば、その男は精神障害を抱えており、しかも、救急車が数時間も足止めされなければ、たぶん、その男は助かったはずだと思われている。

11月8日、すでに言及したように、イスラエル軍はパレスチナの武闘派を鎮圧するという名目でガザに侵攻し、その過程で、サッカーをしていた少年が射殺された。

その2日後の11月10日、パレスチナ人闘士が放った対戦車用ミサイルで、ガザを取り巻くフェンスをパトロールしていたジープが破壊され、4人の兵士が負傷した。

ハアレツ紙が指摘するように、ハマスは、もしイスラエルがフェンスの向こう側を防衛する権利があるというのなら、「境界フェンス」のこちら側を守る権利があるのだと誇示したかったようだ。

ハマスの生意気な独特の示威行動に対し、イスラエル軍は総体としてのパレスチナ人を徹底的に懲らしめ、ハマスにはどちらが主人なのかはっきりと示す行動に出た。

・罪人その4:ホワイトハウス

ネタニヤフが以前の方針を復活させ、ハマスのリーダーを法に依らず処刑し、周囲の民間人を巻き添えにしようと決めた時,ホワイトハウスと少なくとも協議しなかったと考えるのは不可能に近い。「キャスト・レッド」の時と同じように、イスラエルは米国の選挙が終わるまで侵攻を拡大せず、自制していたことも明らかだ。イスラエルは選挙と大統領就任までの間に生じる政治の「空白期」を待っていたのだ。

そこには米国大統領にメンツを失わせないようにという配慮が働いていた。バラク・オバマはイスラエルの行動を事前に承認していたはずだと考えるのが妥当だろう。一部のアナリストは、大統領2期目にオバマはネタニヤフにお返しをするはずだとひどく楽観的なシナリオを描いていたが、今回の侵攻の開始以来、オバマは無条件にイスラエルを支持し続けている。

もうひとつ、イスラエルがガザを挑発し、ハマスとの交渉や停戦合意を望む国内の圧力を抑えられるのは、オバマが米国の納税者からむしり取った数億ドルもの巨額の税金を、イスラエルのアイアン・ドーム[鉄のドーム]と呼ばれるロケット防衛システムの援助に与えているからだということも忘れてはならない。

ガザから発射されるロケットを撃墜するアイアン・ドームがなければ、ロケットはイスラエルの市街地に落下したかもしれない。だから、イスラエルとホワイトハウスはロケット防衛システムを支援する米国の気前よさを人道的なジェスチャーとして売り込むことができる。

しかし、本当のところは、アイアン・ドームに守られているおかげで、イスラエルは何をやっても切り抜けられると思い込み、さらなる攻撃の対費用効果計算を断然有利にしたのだ。ハマスがどんな洗練された兵器をガザに密輸できたにしても、防衛システムがあるおかげで、イスラエルはその脅威を取り除けるだろうと確信している。

アイアン・ドームは、ガザがイスラエルとの対立で膨大な人的負担を被り続け、対立が頻繁に起きる状態を恒常化させるだけで、人道的などと呼べる代物ではない。

主要な罪人は明らかになった。これからの何日か、もし、イスラエルが攻撃を激化するならば、これからの何週間に奪われるであろうパレスチナ人とイスラエル人の生命に、これらの罪人たちは責任を負わなければならない。


翻訳:折口学

原文: Why Gaza Must Suffer Again

*ジョナサン・クックはイスラエル領ナザレに住む英国出身のジャーナリスト。ナザレに住んでもう11年になる。イスラエルに関係する3冊の本を出版し、マーサ・ゲルホーン特別賞を受けている。サイトは http://www.jonathan-cook.net/



*京都では24日(土)に抗議行動が、26日(月)にはビジルが行われます。 http://0000000000.net/p-navi/info/info/201211220023.htm に。

イスラエルのガザ攻撃に抗議を!24日京都・三条 Protest against Israel’s attacks on Gaza @kyoto

***転送・拡散歓迎***

☆イスラエルのガザ攻撃に抗議の声を!

パレスチナ・ガザ地区が、イスラエル軍の激しい攻撃に曝されています。

この一週間で143名が殺害されてしまいました(11月21日現在)。

幾度となく繰り返されてきたガザ攻撃、大規模侵攻。

たとえ「停戦合意」が結ばれたとしても、イスラエルによる封鎖政策が続く限り、真の平和が訪れることはありません。

イスラエルにこれ以上の殺戮をやめるよう、そしてパレスチナ占領政策をやめるように、抗議の意志を共に示しましょう。

11月24日(土)16時からの17時まで 場所:三条河原町アーケード入口

※可能な方はプラカードなど持参ください。

※「停戦合意」がされたとしても、私達は今回の作戦で殺害された犠牲者を追悼し、パレスチナ問題の根本的な解決を求めて行動を行いたいと思います。

※17時からは同じ場所で沖縄・辺野古への新基地建設に反対し、普天間基地の撤去を求める京都行動による定例アピールがあります。8年以上、毎週土曜日続けられてきた活動です。時間の許す方はこちらにもぜひご参加ください。

よびかけ:さぼてん企画

+++++

Stop the massacre!

Stop the bombing!

End the occupation!

Free Palestinians!

Come join us at a street protest against Israel’s attacks on Gaza.

Time & date: 4 to 5 pm, Saturday, November 24, 2012

Venue: On the western side of Kawaramachi Street, Sanjo-Kawaramachi, Kyoto

Bring your own banners, signs, and placards.

If a cease-fire materializes, we will still meet and protest.

Organized by Saboten Kikaku (the Cactus Planning)

(拡散用URL: http://is.gd/ID7fd7 )

++++++++

○11月26日(月)18時から

場所:三条大橋上にて

※キャンドルビジルをします

よびかけ:つばめクラブ、ピースウォーク京都

2012.11.21

停戦が叫ばれている間に ガザ攻撃7日目

今、現地時間20日午後10時すぎ。

数時間前から「もうすぐ停戦がなされる」と時間まで書いたニュースが飛びかっていた。だが、すぐに打ち消すようなニュースも。とにかく、停戦合意に至ったのかどうか、今はわからない。

だが、ガザは混乱の極みにある。

夕方までにイスラエル軍はガザ北部を中心に「攻撃するから、家から離れるように」というビラを空から撒いた。とくにイスラエルとのボーダー近くに住んでいる人々は荷物を携え、国連(UNRWA)の学校へと避難のために殺到した。その数は数千人という。学校は人と荷車などでひしめきあっているという。

そして、こちらの夜中に届いた情報は、攻撃の激化を訴えるものばかり。

今、ガザには停戦なんてありゃしない。代わりに集中攻撃よ。 @SarahSalibi

「この3時間で14人が殺された!他の多くの人たちが負傷している」「どんどん攻撃が激しくなってきている。さらなる爆撃、そしてさらなる死者」「海からの攻撃も激しさをました」「ガザのいたるところで爆撃が行われている」「イスラエル軍のヘリは海岸線を飛んでいて、下の標的に向け、爆弾を投下。大きな爆発が起きた」etc,etc…

具体的に入ってきたのは、アル=アクサTVのカメラマン2人を乗せた車が標的になり、2人ともが殺されたという件。これはすぐそばにニューヨークタイムズの車もいて、そちらは間一髪で助かったと知らせてきている。また、アル=クッズ教育ラジオのディレクターもガザ中部で殺された。

保健省の発表した死者数は126人だったが、それ以降の増加もあり、今、わかっている数は130人を越えたということだ。

ハマスの軍事部隊、カッサム団もロケット弾攻撃を強めていて、イスラエルで死者が出た模様。

「停戦」の兆しは今は見えない。

もう限界なので、ここまで。目覚めたときにどうなっているかが怖い。

【追加】 起きてすぐ、停戦のチェック。でも、やはり停戦には至ってない。 数にしてしまうのは悲しいけれど、現在143人がガザで殺されたことになっている。(日本時間午後12時20分)

犠牲者の名前と年齢、簡単な説明

2012.11.20

死者が100人以上に…大爆弾使用 ガザ攻撃6日目

昨日のブログを書いた直後に入ってきたガザからの言葉はこのようなものだった。

激しい、激しい、激しい空爆がラファを今、襲っている@Mogaza

(日本時間19日午前9時41分)

これを発信したのは、高校生のときからガザ最南端のラファで、状況をネットで伝えてきて、とうとうジャーナリストになったムハンマド・オメール。どれだけの空爆を体験してきたかわからないほどの人がこう言うのだから、本当にひどいものだったのだろう。ムハンマドによると、エジプトから支援にやってきた500人のうちの2人の女性は、爆撃を間近で体験して失神してしまったそうだ。

ガザの死者数が増加している。最新の情報はこんなものになっている。

ガザの死者数は111人に達した。(私は本当にこんな更新をするのをやめたい…)@SarahSalibi

(日本時間20日午前5時)

パレスチナ保健省が数時間前に発表したのは102人くらいだったが、それからまた死傷者の情報が入ってきているので、これくらいにはなっていると思われる。

1日目から死者数を追ってみると(累計)

  • 14日 11人
  • 15日 ?人
  • 16日 24人
  • 17日 40人
  • 18日 72人
  • 19日 111人

ここ2日間でそれぞれ30人以上が殺されたことになる。最初の3日間とはペースが違う。私が昨日見たのは1トン爆弾が炸裂した強烈な写真だった。まるで「朝日が輝いている」ようで、「これは太陽じゃないんです。学校を爆撃した様子です」とツイッターで回っていた(この写真を探したが、みつけられなかった)。2トン爆弾も使われているとイスラエル紙も伝えている。

1トン?2トン? つまり1000キロと2000キロだ。どれだけ大きな爆弾であることか。

私は500キロ爆弾(つまり0.5トン)にやられた爆撃の後の写真を友人に見せてもらったことがある。2002年のガザでのハマス幹部を狙った爆撃のことだ。このとき、狙われた幹部は無事だったが、娘さんをはじめとして、住居である集合住宅から10人近い子どもの犠牲者が出た。集合住宅は狙われた階だけではなく、その上の数階にわたりめちゃくちゃな破損をしていた。屋内も壁が吹っ飛んでいた。大きな爆弾の威力を見せつけられた。(2005年にロンドンの地下鉄駅で使われた爆弾は4.5キロ爆弾)

だが、今回はその2倍、4倍もの大型爆弾が使われているということになる。

大きな火の玉をあげる爆撃の後

思い出してみると、ハマスの最高指導者だったヤシーン師暗殺のときには、小型高性能爆弾が使われている。金曜礼拝の後の人が混雑している場所で、イスラエル軍はヤシーン師とその連れの2人だけをピンポイントで殺した。この時期、そういう小型爆弾が開発されていた。

つまり、「民間人の犠牲者を避ける」というのが本当なら、小型高性能爆弾を使うはずだということだ。1トンや2トンもの爆弾を使うというのは、あたりかまわず大人数を殺すということに他ならない。「ジェノサイド」という言葉を使っている人もいるが、そのとおりだと思う。

昼前のガザからのツイート。

屋上にいたら大きな爆撃がきた。体に電気が走ったようだ。信じられないほどのもので、正気を失いかけた。叫び声が響き、男性が病院に運ばれていくのが見えた。家から10m先が爆撃された。濃い煙、耐えがたい匂いがたちこめる。窓ガラスは吹き飛んだ。サイレン。狂気。@ranagaza

(日本時間20日午前11時10分)

この20分後にranagazaさんからは「電気切れ。攻撃は激しくなっている。バッテリーはほとんどもうない。ツイートできなくなる。お元気で」という発信があった後、10時間ほど便りがなかった。ほぼ同時刻にガザのシーファ病院の電気がとまったという知らせも届いた。ガザ市の電気は止まってしまったようだ。(イスラエルのインフラ破壊なのかどうかはわからない)。

この頃、一家から複数の犠牲者が出たという知らせがいくつか届いた。

たとえば、「アッザム家のガレキの下から3人の遺体が引きずり出された。5歳の男の子、女性と男性の3人だ。40人が負傷」(場所不詳)というようなもの。

ガザ市のアブ=ズール家も子ども2人を含めて3人が犠牲となった。

19日はこのような知らせが多く届いた。どんどんと死者数が増えていく。

先ほどまた入ってきた一家惨殺の知らせは、ガザ北部でヒジャジ家が爆撃にあったというもの。(日本時間20日午前3時50分ごろ)情報はまだ錯綜しているが、破壊された家のガレキの下から2歳と4歳の子どもの遺体がみつかり、父親はまだガレキの下、母親はかなりの重体、ほかに17人が負傷しているという。→追加:情報が入ってきました。殺された男の子2人は双子の4歳、父親と母親は病院に運ばれたが助からなかった。18人が負傷とのこと(マアン・ニュース)。近所の人はこの一家がどこの政治活動とも関係がなかったと言っているという(政治活動をしたいたからと言って、殺されていいわけではない)。

ラファのアル=ナサスラ家では、15歳と17歳の兄弟が殺され、14人が負傷している。(日本時間20日7時ごろ)

現在の負傷者数は正確にはわからないものの、午前3時の時点で800人以上となっている。

ガザの人々はなぜ、こんな目に遭わなくてはならないのか。一家での死傷者の件をみると、明らかに民間人を狙っていることがわかる。

ガザからのロケット弾が引き金ではないことは、16日、17日のブログに書いてある。この作戦は今の時期を狙っていたこともわかっている。

やはり大きいのは、1月のイスラエル総選挙と、国連でのパレスチナ承認(オブザーバー)だと思う。ファタハとハマスが連携を取り始め、イスラエルのいうことをよく聞くファタハがとても不人気(地方選で大敗した)だということで、イスラエルはハマスの勢力をそぎ、国内での結束を固め、最右派のネタニヤフのアピールをしたいのではないか。

(イスラエルの作戦開始後に、200発とか撃たれていたガザからのロケット弾はこのところ数を減らして、昨晩は5発だったという)。

しかし、それは思ったような方向にいっていない。西岸では激しい抗議が各地で巻き起こり、ガザとの連帯感が高まっている(西岸でも抗議のときに逮捕者が出て120名以上となっている。そして、殺された人も3人出ている)。

世界各地からの抗議も激しく起っている。ギリシアだったか、15万人が集まったとか(後で確認します)。これでBDS(イスラエルへのボイコット、投資引き上げ、制裁)運動がはずみをつけることは間違いないだろう。

そして何よりも、イスラエルは今、エジプトを仲介としながらも、ハマスと交渉せざるをえない。ここが4年前とは違うところだ。国内的にみれば、「後退」と捉えることもできる。あとは国際的非難を浴びても、4年前以上の大惨事を引き起こすかどうか。これはオバマの意思とも関わってくるだろう。いちおう、対外的にはオバマは「地上侵攻は控えろ」と言っている。

ハマスの停戦要求は「ガザ封鎖解除」だ。こんなことをイスラエルは飲めるだろうか。停戦間近の報道も流れたが、今のところ、大きな動きはつたわっていない。(日本時間午後4時)

【その他のニュース】

  • イスラエルの右派(いわくつきのレイシスト)たちの発言は聞くに耐えないものが多いが、とびきりのものが飛び込んできた。 発言主は元首相アリエル・シャロンの息子、ギラット・シャロン。 「ガザを全部更地にしてしまえ(真っ平らにしろ)。米国はヒロシマとナガサキに原爆を落としてそれをやった」(要約)というもの。公然の秘密として核弾頭を200発は持っているイスラエルだが、さすがに核を落とすことはないと思う。なぜなら、地続きだからだ。自分たちも被害を受ける。しかし、ガザを消滅させたい欲望を持っている人間たちがいることは確かだ。

  • 18日にも攻撃を受けたガザ市のプレスビルがまたもや攻撃を受けた。この高層ビルにはロシアTVや英国のスカイニュースなども入っている。ほかにはアル・アラビヤなども。犠牲になったのは低層階のコンピュータショップ(?)の店主だったようだが、ジャーナリストが合計7名くらい負傷している。事実を伝えさせないための露骨な攻撃をイスラエルは恥じることがない。(ロイター)

【information】

書きたいことはもっとあるけど、ここで一応おわり。

2012.11.19

ジャーナリストも標的に ガザ攻撃5日目

長いこと、ここに発信できませんでした。病気療養中というのもあり、パレスチナのことを追っているものの、英語を読み取り、集中して書くということが難しかったのです。今も状態はあまり変わりません。が、それでも、通信を出したり、英語を読み続けたりできています。それはイスラエルがそうさせるのです、あまりに酷いことをし続けるので。書くこと、少しは伝えることしかできないので、ぼつぼつとやります。(少しずつ書き足しながら完成させる予定)

昨日のこのブログでの死者数は40人としていましたが、現在(日本時間19日午前2時半)、パレスチナ保健省が発表した最新の死者数は65人(半数は女性と子ども)となっています。だけれども、70人が犠牲となっているという報告もあります。負傷者は650人以上。

ロンドンでの抗議行動の1シーン 「ガザ 虐殺を止めよ」とのプラカードが

私のツイッターには、ほぼ1分ごとに血塗られた報告が届き、それを全部きれいにまとめることは、今は無理です。一日に何百というツイートが流れてくるのです。なので、時系列は少し揺れるけれども、いくつかの信頼おける情報を紹介したいと思います。(ガザからのツイートが届いていると、ホッとする面もあります。「あ、この人、無事なんだ」「まだ、ツイッターには接続できるんだ」と。電気は発電機頼り、ネット接続も切れているという情報もあるので)日本時間で書きます(発信元がいろいろなので、現地時間とは限らないため)。

  • 「うわぁ、4発の大規模な爆撃がベイト・ハヌーン(ガザ北部)に行われた。家はいつものように揺れ、窓がガタガタいった」@FidaaZaanin(日本時間18日午前8時前)

  • 「また大きな爆発音がガザ市で。無人戦闘機の音はどんどん大きくなるようだ」@JournoMoe(上とほぼ同じ時刻)

  • ガザのシーファ病院の医師、アル=ケドラ氏によると、負傷者、死者の傷口から出た破片から異様な匂いがして、イスラエル軍は化学兵器を使っている可能性が高いとのこと。シーファ病院は医薬品の不足に加え、輸血用の血を募集中。@marmite_news(日本時間18日午前7時以前)

  • 「これは戦争ではない。人殺しだ」ノーム・チョムスキー  Chomsky Statement on Israel's War on Gaza

  • ハッカー集団「アノニマス」がイスラエルのサイト9000をもダウンさせたと発表。外務省のデータを消去したとも。「アノニマス」の声明より抜粋。「「アノニマス」はイスラエル軍によって、いわゆる「占領地」とされているパレスチナの人々が受けている野蛮で、残酷で、卑劣な扱いを長いこと絶望的な気持ちで見て、世界の他の人々とともにいた。この世界の多くの人々と同じように、この冷酷な悪に対して無力を感じてきた。そして、現在の凶暴な攻撃とガザへの侵攻の脅しはいつも以上のものだ。」…「イスラエル軍と政府に1回だけ警告を発する。「占領地」でのインターネットを遮断するな。そして、パレスチナの罪なき人々に対するテロをやめろ。そうしないと「アノニマス」の果てなき怒りをみることになるだろう」 press release より

  • 「私たちはエジプトから8台のバスと、それ以上の車に乗って、ガザへ物資支援を持ち、人間の盾となるため向かっている。」@LeilZahra(18日16時すぎ)→50人だけが国境を越えられた。治安の問題のため。(18日時間不詳)→なんとか500人がガザに入った模様。(19日未明)

  • ガザ市の報道拠点となっているビルの、テレビ局が入っている階が数度にわたって爆撃され、ジャーナリストが負傷した。「爆撃の後、私たちは居間にいた同僚が助けを求める声を上げているのを聞いて駆けつけました」…「ハデルの上にあったガレキをなんとか動かしたら、血まみれになった彼を見つけました。そうしたら、またロケットが新たに同じビルに打ち込まれて、…ハデルと軽傷を負ったムハンマドを外へ運び出しました」… “We will not fear their strikes”: Gaza journalists defiant after Israeli attack on media center より。このアル・クッズTVのカメラマンであるハデル・ザハルは右足を切断され、治療のためにエジプトに運ばれた。ジャーナリストを狙い撃ちにしたこの爆撃によって、7人くらいが負傷し、スタジオや機材が破壊された。ガザで起っている事実を覆い隠そうとするイスラエルのやり方に「この事件を広く知らせてほしい。我々は伝え続ける」という声がガザのジャーナリストからあがっている。(18日午前8時くらいの事件)

    ちなみにイスラエルのアナリストは「かつてとは違い、ガザにはたくさんのレポーター、より多くの目があり、イスラエルが自説を通していくことは困難になっている」と語っているそうだ。

  • 「(死んだ)赤ちゃんがたった今、爆撃された家のガレキの下から掘り起こされた。自分の目の前で起こったことを信じられない」@AymanM(18日午後10時)これがアル=ダロ(Al Dalou or Dalu)一家が被った大惨事の第一報だった。この一家からは4人の子ども、4人の女性を含めて、10名の犠牲者が出た。(犠牲者は12人とも14人とも報じられている。まだ、詳細はわからない)。ガザ市でのこと。一家の3階建ての家は完全に崩れ落ちた。4年前の「キャスト・レッド作戦」で家族の多くを失ったサムニ家(古居みずえ監督ドキュメンタリー「子どもたちは見ていた」の家)の再現が行われてしまったようだ。やや混乱があるけれども詳細は Horror as Israeli strike kills Gaza family

    同じように家族のなかの何人かを失った家の物語(18日現地時間:午前)→ Meeting with the Abu Sefan family in Gaza

  • 「いつだって空爆の音を聞いたら、両耳を手でふさぎ、とても怖い思いをするんだ」ウィサム・ダルロール9歳 @harryfear(19日午前0時過ぎ)

  • 「ガザの子どもたちの死者が増える一方で、イスラエルのネタニヤフ首相は世界の指導者に民間人を標的にするようなことは避けるようにしているなんて語っている」@rachshabi (19日午前0時半)

  • イスラエル軍はこの作戦が始まって以来、1100の標的を撃ったと発表。(19日午前5時半)この直前にガザ北部でフセイン・ジャラル・ナセルという8歳の男子が家にいて空爆で殺されている。@Mogazaほか 同じ頃、「集中した空爆が行われ、ガザの四方で爆発が起っていると報告されている」@GazaYBO

  • 世界中で抗議。写真多し。 Anti-Israel rage across globe as violence in Gaza goes on

  • 私たちはただの数じゃない。だから、水曜からの攻撃で犠牲者になった人の名前と年齢を追い続ける」として、リストができている。Names and ages of killed people in the ongoing Israeli attacks on Gaza 現在、72名。そこにはアル=ダロ家の人々の名前もある。72番目の名前は上に書いた8歳のジャラル・ナセルくん。

今はここまでが限界。

とても全てを書くことはできない…。

でも、最後にひとつだけ、これは書いておきたい。今日19日の毎日新聞の朝刊(大阪版)のことだ。

この時に、一番詳細で大きな取り上げ方をした記事が「挑発するハマス ロケット弾射程拡大」(紙版見だし)だとは。

かつてエルサレム支局にいた樋口直樹記者の名前がある。この樋口記者は何度も「ガザからのロケット弾に苦しむイスラエル市民」の記事を書いていたことは忘れもしない。その冒頭部分。

戦闘は今月に入って、ガザ側からのロケット弾攻撃が続いたことへの報復として、イスラエル軍が空爆を本格化して激化した。

クローズアップ2012:イスラエルとの戦闘激化 強気のハマス

これは既に 始まりはいつも同じ 「雲の柱」作戦【ナブルス通信】「ガザで殺人を行っているのは誰か」ーーノーム・チョムスキーらによる報道への呼びかけ間違いであることを書いている。毎日新聞はチョムスキーらの呼びかけを読んでみるべきだ。だいたい、「戦闘」じゃないし。

もっと根源的には、この事態はイスラエルがガザを封鎖し、孤立させ、人々の生を踏みにじっていることにある。

もっと体力があったら、毎日に抗議文を出すところだが、今の私には無理。残念だ。

*21日、神戸と大阪で抗議行動があります。詳細は 【神戸・大阪】イスラエルによるガザ攻撃を許さない11・21緊急申し入れ行動 に。

2012.11.18

数になった死者たち ガザ攻撃4日目

(もう今日ですが、東京のイスラエル大使館前でガザへの攻撃に対する抗議行動が行われます。14時〜 詳しくは  ガザ攻撃に対する緊急行動に関する情報 に。また、この様子は IWJ東京チャンネル1 で中継されるということです)

ずっとツイッターでガザからの、世界からのつぶやきを追っていると、息が詰まってくる。爆音、衝撃、火災、喪失…。その連続に圧倒される。私が昨夜、一番、感じいったのは、たった2行のこんなつぶやきだった。「I don't want to die. I need me.」ガザのどこに住むかわからない女性の言葉。「私は私を必要としている」。なんと切羽詰まった言葉なんだろう。押しつぶされそうな中ででてきた言葉だと感じる。

通信では水曜からの死者数を24人としたが、現在(日本時間18日午前4時)は40人か41人になっている。負傷者は400人以上。

私はこの数を書きながら、犠牲者が「数になっていく」のに強いためらいを感じる。そこにあるはずだった一人ひとりの人生が数になど還元されてはならない。そうさせてしまう状況に憤りを感じる。

そう思っていたら、ロンドンでの抗議行動で、犠牲者の名前を一人ずつ読み上げたという知らせが入ってきた。この知らせにやっと「I need me」とつぶやいた人のような生(なま)のぬくもりを感じた。

40人の死者の一覧はこちらから読むことができる。想像してみる。どんな人だったかを。そして、このリストが増えていかないことを願う。 List of victims of Israel's assault on Gaza ぜひ、多くの人に見てほしい。

この攻撃が始まり、むごたらしい写真も数多く見て、また辛い話も読んできたが、私は泣かなかった。だが、さっき届いたばかりの動画を観て。初めて涙がこぼれた。それはハーンユニスの青年たちが斜面を利用し、バク転や空中回転の練習をしているという4分たらずの映像だった。途中で爆撃が起こるが、青年たちは練習をやめない。 Video: Israeli bombs disrupt Gaza Parkour Team practice (上の動画) 陳腐な表現だが、ここには躍動する肉体がある。青年たちの生が輝いている。だからこそ余計にその生を取り囲んでいる大きな苦しい圧力を感じて、泣けてしまった。これも多くの人に観てもらいたい。

【その他のニュース】

*西岸各地で大規模な抗議行動が行われているが、イスラエル軍に襲われ、逮捕者や負傷者が多数出ている。重体の人もいるという。ナブルスなどにはイスラエル軍が侵攻をしている。

*イスラエル領内ではいくつかの大学でアラブ系の学生が抗議活動を行ったが、ハイファ大学などのように「アラブ人に死を」というコールをする右派学生と対峙した。

*謎のハッカー集団「アノニマス」が、イスラエルのサイト500以上を乗っ取り、その中には首相官邸のサイトも含まれている。

*あまりにもガザからの手製ロケット弾の脅威がメジャーなメディアで語られる(とくに米国内)ため、この12年間でどれだけのイスラエル人犠牲者が出たかを調べた記事が出た。結果は26人。すでに4日間で今回の「雲の柱」作戦のほうが、多くの犠牲者を出している。詳細は Dissecting IDF propaganda: The numbers behind the rocket attacks に。ロケット弾の数にも問題があるらしい(まだ読めていない)。

*たった今、入ってきた情報。「これを打っている間にも、ガザ最南端のラファには集中した空爆が」。きりがないので、ここまでにしておこう。(日本時間18日午前5時半)

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